「有効性」を重視する企業が経営で沈まない理由Gartner Column(3/4 ページ)

» 2009年11月06日 11時30分 公開
[小西一有(ガートナー ジャパン),ITmedia]

先行きが不透明だからこそ「有効性」を

 (表4)からは、CIOがビジネス上の優先課題をIT部門の戦略的優先課題に転換して対応していることが分かります。この優先課題には、企業のエンタープライズ・エフェクティブネスが映し出されます。また優先課題からは、CIOの戦略が、ITの運用における基本事項からビジネス部門と連携することに進化していることが読み取れます。

エンタープライズ・エフェクティブネスの高い企業のCIOの戦略 (表4)エンタープライズ・エフェクティブネスの高い企業のCIOの戦略(出典:ガートナー)

 CIOはこれまで、ガバナンスなどいわゆる「ITのコア領域」に焦点を当てた業務を担当してきました。それが変化しているのです。コア領域の強みを生かして、自身の役割を拡大させています。エンタープライズ・エフェクティブネスの向上に注力することで、ビジネス部門だけでなく、IT部門への期待事項にも影響を及ぼすことが可能になります。

 先行きが不透明な今だからこそ、効率性だけでなく、エンタープライズ・エフェクティブネスの向上が求められています。効率は、比較的余裕のある時期に悪くなります。資金があると、精査せずに使いすぎてしまったり、実力以上の投資をしてしまうからです。

 企業は今、時間はあっても資金がないという現状に直面しています。すなわち「何もできない状態」であり、効率アップとは無縁の世界にいます。表4の結果からは、そんな今だからこそ、経営の自信につながる目標達成能力であるエンタープライズ・エフェクティブネスに注力すべきだという解答が導き出せます。

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