世界で勝つ 強い日本企業のつくり方
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» 2009年11月09日 08時30分 公開

世界で勝つ 強い日本企業のつくり方:大前研一の辛口ニッポン応援談(前編) (5/5)

[構成:怒賀新也, 土肥可名子,ITmedia]
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アンビションのない日本人

 日本人は、明治以降、戦後20〜30年くらいまでは優秀だった。しかし今や学校は世界のどこに出しても恥ずかしい人間しか作り出さない。ぼくはこれを「大脳が盲腸化した!」と呼んでいるが、そういう人間を社内の教育担当部門に入れてもダメ。教える方が20年前の人間だからね。おまけに日本人は、ますます小さな幸せを求めて満足するようになってしまった。若い人もアンビションがなく「草食系男子」なる言葉が流行っている。せめて女子が世界に出て活躍してくれればいいが、大脳の盲腸化は文科省が病原菌を撒いているので男女共通だ。

 留学もしたくない、海外にも赴任したくないと。入社したときに社長になりたいと思っている若いヤツは2割もいない。取締役になった人に聞いてみても、7、8割がこのポジションでいい、社長にまではなりたくないと答える。いままで日本人がこんなアンビション(野心、大志)のないことはなかった。

 松下幸之助なんか英語もできないのに世界に出掛けていった。ぼくが教授をやっている韓国の大学で見ていれば分かるが、アンビションの塊みたいな人間ばかりだ。中国に行けば、韓国が生ぬるく感じられるくらい競争が激しい。一方、日本には世界のどこに出て行っても勝負するぞという気構えで育ってきた人間がほとんど見られない。

 このアンビションの違いこそ、今後の日本を考えるときの最大の問題だろう。残念ながらこれを解決する手段はない。会社としてはそういうアンビションを持った人、韓国人でも、オーストラリア人でも、インド人でも、そういう人材を雇っていくしかないんだ。アンビションのない人がマジョリティになると会社全体がよどむからね。

 時代はLCC(Low-Cost Carrier)、マレーシアのエア・アジア航空なんかが圧倒的に強くなっている世界の航空業界において、内側の理由ばかりを言う今のJAL(日本航空)が良い例だ。その建て直しを政府主導でやろう、なんて言っている民主党政権も激甘だ。国境のない空を飛ぶ飛行機会社に日本の論理を入れ、日本人主体で経営しようとする限り解決策はないよ。利用客にそっぽを向いて自己中の再建策ばかり練るJALは一度倒産させればいいんだ。不便にはなるかもしれないけど、誰も困らないよ。その間、頭冷やして本当にJALが必要なのかどうか、考えたらいいんだ。どうしても不便だとなったら、アジアのLCCを国内便に入れてやることだ。料金が数分の1になることは間違いない。

 ポカリスエットを作っている大塚製薬のインドネシア法人は社長は日本人だが、あとは1500人全員がインドネシア人だ。世界でもっとも安くて優秀な人間を採用して自分の会社に骨を埋めさせる。これがノウハウとして一番重要になるだろうね。(談)

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