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集うのは56万人。しかも女子だけ――SNS「プーペガール」有名ブランドからもラブコール(2/2 ページ)

» 2009年11月25日 08時00分 公開
[石森将文,ITmedia]
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法人として独立、そして有名ブランドとのコラボ

 サービスとしては2007年に開始されたプーペガールだが、法人としてのプーペガールが誕生したのは2008年3月のこと。もともとは、親会社であるサイバーエージェントで人事を経て社長室に所属し、社長アシスタントを務めていたという森永氏は「自分が代表取締役だと言われて、驚きました」と笑う。

 “サイバーエージェントが抱える1サービス”という位置付けだった独立前は、プーペガールでの収益を上げることは重視されていなかったという。だが独立する以上、プーペガールを事業化し、採算を確保しなければならない。

 「以前からブランドとのコラボレーションには可能性を感じていました」と話す森永氏が最初にアプローチしたのが、ルイ・ヴィトン。「今後の展開も考えると、最初が肝心ですから」(森永氏)

 ルイ・ヴィトンとのコラボの仕掛けは次のとおりだ


 ユーザーはある日、専用ページ上のマイルームに届いた手紙に気付く。開封するとそれは、ルイ・ヴィトンからの招待状である。

 招待状に記されたアドレスをたどると、そこにはオープンしたてのルイ・ヴィトンの(仮想)ブティックがある。ブティックに並ぶのは、リアルでも販売される、新作アイテムである。

 ほかのアバターアイテムと比べて高額とはいえ、リアルマネーではなくリボンで買えるのは魅力。もちろん購入したアイテムは、自分のアバターに着用させられる。

 そうしているうちに、自分自身も欲しくなる。仮想ブティックでは(アバターアイテムとしてではなく)リアルにも購入できるため、お金を貯めて、買ってしまう(人もいる)――。

ルイ・ヴィトンの仮想ブティック ルイ・ヴィトンの仮想ブティック。ここからアバターアイテムもリアルアイテムも購入できる

 ルイ・ヴィトンとのコラボが実施されたのは、独立から2カ月ほど経った2008年の5月20日から2週間。森永氏はコラボ成立の要因を「ルイ・ヴィトンの“クオリティー”へのこだわりに、プーペガールのプラットフォームが応えられたからでしょう」と分析する。

 もともと、ドット絵などで構成される類似サービスのアバターアイテムと違い、プーペガールのアバターアイテムは、拡大しても破たんしないなど、細かな作りである。

 だがルイ・ヴィトン側はそれに満足せず、例えばバッグのステッチの数まで実物に合わせるといった作りこみを行った。「いろいろな角度から撮った写真を参考に、刻印された文字まで再現しました」(森永氏)

 また、通常のアバターアイテムを購入する際は【購入しますか はい/いいえ】といったインタフェースだが、ルイ・ヴィトンの仮想ブティックでは店員が「お買い上げいただきありがとうございます」というような丁寧なコメントを返すよう、ロジックを変更したという。

ルイ・ヴィトンのアバターアイテムの例。“引き”でも十分なクオリティーに見えるが(画像=左)、拡大すると、ステッチが見えてくる(画像=右)。さらに拡大すると、刻印された文字なども確認できる

コーセー、ランコム、コーチ、そして資生堂が続く

 ルイ・ヴィトンの成功例を受け、その後もコーセー、ランコム、コーチといったブランドと、次々にコラボを実現した。そしてこの11月20日からは、資生堂「マジョリカ マジョルカ」の仮想ブティックがオープンしている。

 「ファッション以外の分野に手を広げるつもりはありません」と森永氏は話す。“おしゃれに敏感な女性”に明確にターゲットしているからこそ、提供するサービスがブレないし、コミュニティーもアクティブになる。結果として、広告クライアントにも高い価値をもたらすことになる。

 例えばコーセーとの取り組みでは、コーセー側担当者と“プペとも”になったユーザーが、24時間で9600人。コーセー側担当者が投稿した写真には5000以上のコメントが付き、サンプリングに対し60倍もの応募を獲得したという。

 だが森永氏は、現状では“四半期に1回”程度のコラボが適当と考えているようだ。「プロモーションとはいえ、ユーザーにも支持されるよう、慎重に開発したいので」(森永氏)


 従来、ファッションに関する発言力を持つのは、有名デザイナーや評論家、あるいはファッション誌の編集者などに限られていた。だが森永氏は「プーペガールのユーザーには、アイテムの良し悪しを選別するだけでなく、素晴らしいコーディネートセンスを持つ人がたくさんいるはず」と話す。

 将来的にはプーペガールから、既存の“おしゃれヒエラルキー”を崩すくらいの影響力を持つユーザーを輩出したい――森永氏の視点はあくまでも、彼女と同世代の登録ユーザーと、同じ目線に据えられている。

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