法的取り組みが活発化した2010年度第1四半期のセキュリティ動向

F-Secureが発表した2010年度第1四半期におけるセキュリティ動向の総括によると、サイバー犯罪に対する法的取り組みが世界的に活発化し、サイバー犯罪者の逮捕が増加しているという。

» 2010年05月13日 13時43分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 フィンランドのF-Secureは5月12日(現地時間)、2010年度第1四半期におけるセキュリティ動向の総括を発表した。F-Secureのセキュリティ研究所でCRO(主席研究員)として活動するミッコ・ヒッポネン氏と同研究所副所長のショーン・サリバン氏による総括がYouTubeで閲覧できる。

2010年度第1四半期におけるセキュリティ動向の総括を語るサリバン氏(左)とヒッポネン氏(右)

 この総括によると、2010年に入って、国境をまたぐサイバー犯罪者が逮捕されるなど、世界的にサイバー犯罪を取り締まる法執行が活発化しているという。これまで、サイバー犯罪者が逮捕/起訴され、法的制裁を受けるのは非常にまれなケースだった。

 TJ Maxxなど米国大手小売店のレジの認証システムの無線LANをクラッキングし、何千万ものクレジットカードの記録を盗んだアルバート・ゴンザレスが、2010年3月に懲役20年の実刑判決を受けたのは記憶に新しい。これは、これまでのサイバー犯罪関連の事件で下された実刑の中では、最も重い判決だという。

 そのほか、英国で約5年の懲役判決を受けたレーヌ・サブラマニアム(JiLsiという名で知られる)、エストニアで2年7カ月の懲役判決を受けたポリモルフィック(多形的)ワーム「Allaple」の作者、アルトゥール・ボイコなどのケースもこれに類するものだ。

 また、ルーマニアでは、ロシア当局の協力で、70名を超えるフィッシング詐欺組織が一斉摘発された。ロシアは、サイバー犯罪者が身を隠す、安全な避難所としてみなされることが多かったため、この一件はセキュリティ業界で大きな話題となった。

 こうした動向を受け、ヒッポネン氏は、「サイバー犯罪は、もはやこれまでのようなリスクフリーのビジネスではない。司法がサイバー犯罪に追いつき始めており、いずれこのようなニュースが日常化するのも時間の問題だろう」とコメントしている。

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