デジタルコンバージェンスで分かれる明暗――デジタルAV機器市場の方向性アナリストの視点(3/3 ページ)

» 2010年08月04日 08時00分 公開
[石川博満(富士キメラ総研),ITmedia]
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カメラ需要は減少 フォトフレームの伸長目立つ

 2009年前半まで好調だったカメラ市場は、景気の影響に伴い、2009年後半以降はデジタル一眼レフカメラの需要減少が目立ち、同市場全体でも前年比約85%(金額ベース)となった。

 カメラ本体の販売が伸び悩む中、売り上げを伸ばしているのがデジタルフォトフレームだ。ソニーなどの大手日系メーカーが市場に参入したことで製品の知名度が向上した。高画質製品のラインアップも充実したことで、市場が急激に拡大している。

国内カメラ関連機器市場規模推移 図7:国内カメラ関連機器市場規模推移(デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、デジタル一眼レフカメラ、デジタルフォトフレームを対象) 出典:富士キメラ総研「デジタルAV機器市場マーケティング調査要覧(2010年版)」

 デジタルフォトフレームは2010年以降も増加傾向で推移し、カメラ本体と同じ水準の市場規模に成長するとみられる。一方、デジタルカメラは2009年の反動から2010年は台数ベースで増加、金額ベースでも微増程度まで需要が回復する見通しだ。ただし、デジタルオーディオと同様に携帯電話が競合製品として台頭しており、一部で需要のシフトも想定される。

デジタルコンバージェンス化の進行と今後

 PCや携帯電話の多機能化に加え、レコーダー/プレーヤー機能を搭載したデジタルテレビやデジタルビデオカメラ並みの動画に対応したデジタルスチルカメラといった既存のデジタルAV機器の利便性を高める多機能製が登場したことで、デジタルコンバージェンス化が市場に与える影響も大きくなっている。特に携帯電話の多機能化は、デジタルオーディオやデジタルカメラといったAV機器市場に既に強く影響を及ぼしている。今後もおのおのの性能が向上することで、ユーザーのさらなるシフトが想定される。

 デジタルテレビやBlu-ray Discレコーダーといった単価の高い製品は、機能や性能面で差別化ができており、安定した需要が期待できる。だが、単価の低い製品はテレビやPC、携帯電話などの機器に機能が集約されていくだろう。今後の生き残りの必須条件は、専用AV機器としてどれだけ機能/性能面での違いを訴求できるかである。「専用機器としての必要性」を訴求できれば、堅調な市場が形成されていくと考えられる。

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