ストレージ仮想化を強化、日立がディスクアレイの新製品

仮想化技術を用いてストレージデータへのアクセスを効率化したエンタープライズディスクアレイシステムを日立が販売開始する。

» 2010年09月28日 15時42分 公開
[伏見学,ITmedia]

 日立製作所は9月28日、エンタープライズ向けディスクアレイシステム「Hitachi Virtual Storage Platform(VSP)」およびストレージ管理ソフトウェア「Hitachi Command Suite 7」を全世界で販売開始すると発表した。併せてストレージ製品を中核にした新たな事業ビジョンも打ち出した。

「Hitachi Virtual Storage Platform」 「Hitachi Virtual Storage Platform」

 VSPは既存のエンタープライズディスクアレイと比べて仮想化機能に特徴を持つ。ストレージ階層の仮想化機能「Hitachi Dynamic Tiering」を実装することで、ストレージを仮想化してSSD(Solid State Drive)やSAS(Serial Attached SCSI)、SATA(Serial Advanced Technology Attachment)といった各種ドライブの階層を構築。アクセス頻度が高いデータは高速処理できるSSD階層に、頻度の低いデータはSATAなどの大容量階層にと、アレイコントローラが階層を最適化し、業務に応じてデータを自動的に振り分けて格納する。

日立製作所 情報・通信システム社 RAIDシステム事業部長の岩崎秀彦氏 日立製作所 情報・通信システム社 RAIDシステム事業部長の岩崎秀彦氏

 この新機能は業務の効率化に加えて、運用コスト面でもメリットがあるという。同社の情報・通信システム社 RAIDシステム事業部長である岩崎秀彦氏によると、一般的に企業内データアクセスの大部分は一部のストレージ領域に偏る傾向があり、データアクセスの低速化などを防ぐためにストレージの全領域に高額なSSDを配置せざるを得ないケースが多いという。「Dynaic Tieringを活用すれば(SSDと比べて)安価なSATAなどのディスクドライブを効率的に組み合わせることができ、全体のドライブコスト削減を実現できる」と岩崎氏は話す。

 加えて、VSPではユーザーのシステム要件やニーズに応じて処理性能や容量を柔軟に拡張できるようにした。具体的には、最大で1024ハードディスクドライブ(HDD)、80ポート、4プロセッサ、256ギガバイトキャッシュの性能および容量が拡張可能なほか、異なる機種のストレージを255ペタバイトまで仮想化統合する。さらに、ストレージ装置の処理を行うコントローラ2台を連結して1台のシステムとして利用できるという。

 Command Suite 7は、ストレージ装置の稼働状況を1つの画面で管理できるダッシュボードを備えており、従来製品の「Hitachi Storage Command Suite 6」と比べて40倍となる100万個のストレージボリュームを1台の管理サーバで一元管理できるようになった。

 価格について、VSPはファイバチャネルが8ポートから、システム物理容量が718ギガバイトからのシステム構成で7715万2950円から。Dynamic Tieringは220万5000円から。Command Suite 7はフルスペックで164万2200円から(以上、すべて税込み)。

海外売り上げ比率を9割に

 今回の新製品発表に伴い、日立が打ち出したグローバル共通のプラットフォームソリューション事業ビジョンが「Data Drives Our World and information is the new currency」だ。この中で基盤となるのがストレージ事業であり、同社の情報通信システム分野の中核としてグローバル成長戦略をけん引していく。

 ストレージ事業の売上高は2009年度に3040億円、海外売り上げ比率が8割だったが、「2015年度は売上高4000億円、海外比率で9割」(情報・通信システム社 プラットフォーム部門CEOの佐久間嘉一郎氏)を目指すとしている。

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