あなたのPCをコントロールするボットネット

PCを不正に操作してスパムメールやウイルスを拡散させる「ボット」の攻撃手法が多様化している。感染すればユーザーも攻撃に加担してしまうので、最新の手口を理解して、感染を防ぐ必要がある。

» 2010年10月04日 15時45分 公開
[Consumer Threat Alerts,McAfee Security Insights Blog]

(このコンテンツはマカフィー「McAfee Security Insights Blog」からの転載です。一部を変更しています。)

 サイバー犯罪者は以前から、ボットネット――すなわち遠隔操作された感染PC――のネットワークを、悪意ある目的で利用してきました。現在、サイバー犯罪者は危険なWebサイトを介してPCを感染させ、Twitter、LinkedInなどのSNSを使ってPCをコントロールしています。

 サイバー犯罪者は、ソーシャルネットワーキングをボットネット配布の新たな手段として積極的に使用しています。ボットネットは継続的な脅威です。一般ユーザーは、サイバー犯罪者がどのようにボットネットを利用しているかを理解すると同時に、自分のPCが感染を広げないようにする方法を知る必要があるといえるでしょう。今回はその感染方法および最新手口、また、被害に遭わないようにするためのヒントなどを紹介します。

感染方法 サイバー犯罪者は「ボット」、すなわちユーザーが知らない間にリモートコマンドを実行できる自動ソフトウェアプログラムをマシンに感染させるマルウェアを作成します。

 次に、最新の話題や人気アーティストに言及してリンクをクリックさせるスパムメールやインスタントメッセージ(IM)を送信します。リンクをクリックすると、知らないうちにボットがPCにダウンロードされます。

 PCが感染すると、ほかの数千台の感染マシンと同様、サイバー犯罪者がユーザーのPCにアクセスしてコントロールできるようになります。結果的に、スパムメールを友人や家族に送信し、ユーザーからのメッセージを装ってマルウェアの感染を拡大させます。

最新の手口

1 ソーシャルボットネット Twitter、LinkedInなどのSNSにより、サイバー犯罪者は、ボットネットワークを制御するシンプルで、しかも捕まりにくい方法を手に入れ、意のままにスパムやマルウェアを拡散できます。

 例えば、サイバー犯罪者はTwitterで送信される「@botcommand」からのコマンドに従うようボットネットに指示する基本的なコードを作成できます。サイバー犯罪者は、Twitterで簡単なコマンドを入力するだけで、ボットネットにスパムを送信させ、危険なファイルをダウンロードさせ、サービス拒否(DoS)攻撃を仕掛けることが可能です。

Twitter経由による操作の例

 サイバー犯罪者は、Twitter以外のプラットフォームでも、同様のコマンドを送信できます。例えばLinkedInでは、サイバー犯罪者はプロフィールを作成し、そのプロフィールからのコマンドに従うようボットをプログラムできます。これらのアプリケーションはコマンドを送信する手段としてのみ使われています。これらのサービスは広く普及しているため、サイバー犯罪者を追跡するのはほぼ不可能です。

LinkedIn経由による操作の例

2 ボットキット サイバー犯罪者が感染マシンにリモートでソフトウェアをインストールし、Webサイトから制御できる、新しい「エクスプロイトキット」がインターネットで提供されています。キットの仕組みは非常に巧妙で、サイバー犯罪者は、エクスプロイトキットがインストールされているWebサイトへのリンクが組み込まれたスパムメール、スパムインスタントメッセージを送信するだけです。

 ユーザーがリンクをクリックすると、キットがユーザーのいる国、OS、Webブラウザに基づいて利用するエクスプロイトを判断します。エクスプロイトのインストールに成功すると、サイバー犯罪者はそのマシンにリモートアクセスできます。

3 P2Pボットネット P2Pネットワークで制御されるボットは、現在最も一般的に見られるボットネットの1つです。ソーシャルボットと同様、指揮中枢が存在しないため、検出が困難ですが、仕組みは大きく異なります。サイバー犯罪者はP2Pネットワークにログオンし、ネットワークに「ping」を送信して、どのボットが近いかを確認します。応答したボットは近くのサーバからコマンドを受信します。

危険性 PCがボットネットに組み込まれると、知らぬ間にサイバー犯罪者の犯罪に加担させられます。また、自分のPCと個人情報も危険にさらされます。サイバー犯罪者は、セキュリティソフトウェアを無効にし、個人ファイルにアクセスするようボットに命令できます。さらに、PCが大量のスパムの送信に使われると、マシンの速度が大幅に下がる可能性があります。

被害に遭わないようにするためのヒント

 サイバー犯罪者は、ボットネットを配布、管理する新しく簡単な方法を考案し続けています。ユーザーが問題の一端を担わないようにするためは、PCを常時防護し、ボットネットの仕組みを詳しく把握しましょう。

  1. 見知らぬ人からのスパムメールやIMのリンクを絶対にクリックしないでください。知らない間にPCにボットがダウンロードされる可能性があります
  2. 使わない時はPCの電源を切ってください。インターネットに接続されていなければ、サイバー犯罪者はPCにアクセスできません
  3. ウイルス、スパムなどのインターネットの脅威から身を守るため、主要なソフトベンダーのセキュリティソフトを使用するのと同時に、ソフトを常に最新の状態に保つようにしてください
  4. インターネットを閲覧する際は必ず、検索結果にWebサイトの危険性を表示するプラグインを使用してください
  5. OS、Webブラウザが自動的にアップデートを適用するように設定してください。

被害に遭ってしまったときにすべきこと

 PCがボットネットに組み込まれていると思われるときは、どうすればよいのでしょうか。

  1. インターネット接続速度が不明な理由で遅くなっていないか確認してください。ボットネットがユーザーの接続を使ってデータを送受信している可能性があるからです
  2. 所有しているPCがWindowsマシンの場合、タスクマネージャーのネットワークタブを開いて、PCがインターネット接続を使用しているか、どのくらいの帯域幅を使用しているか確認してください。2〜3%を超えている場合、ボットが存在する可能性があります
  3. 感染したと考えられる場合、インターネットのモデムまたはルーターをすぐに切断してください。PCをセーフモードで再起動し、ウイルスのフルスキャンを実行して、悪性コードをすべて削除します

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