Symantec、セキュリティ事業の新戦略を発表――レピュテーション検出や暗号化技術を本格導入

Symantecは、新たなマルウェア検出技術やモバイルセキュリティ、暗号化、認証にかかわる製品の大幅な強化を発表した。

» 2010年10月06日 16時25分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 米Symantecは10月5日(現地時間)、スペインで開催中のユーザーカンファレンスにおいてセキュリティの技術および製品群を大幅に刷新すると発表した。レピュテーションベースの脅威検出技術やモバイルセキュリティ技術の本格導入および、先ごろ買収が完了したPGP、GuardianEdge、VeriSignの製品統合を推進する。

 レピュテーションベースの脅威検出技術「Ubiquity」は、1億以上のユーザーから匿名で提供されるアプリケーションやファイルに対する安全性の評価(レピュテーション)の情報を利用する。同社は、2009年に2億4000万種の定義ファイルを作成したが、マルウェアなどの脅威の大半は影響を与えたコンピュータの台数が20台以下であり、1台のみの場合もある。すべての脅威を同社が単独で特定するのが不可能になりつつある。

 Ubiquityでは具体的に、ファイルの発信源や存在期間、普及度合いといった情報を基に、独自の算出方法で安全性をランク付けする。近年は既存の検出機能を回避する攻撃が発生しており、ユーザーの統計情報を補完的に利用することで、新たに発生した脅威への対応時間の短縮や検出精度の向上などが期待されるという。既に、コンシューマー向けのNorton製品や企業向けのSaaS型セキュリティサービスにUbiquityを導入しており、2011年から企業向けセキュリティ製品での本格導入を進める。

 モバイルセキュリティの分野では、Symbian、BlackBerry、Windows Mobileに加え、新たにiOSおよびAndroidに対応する製品を個人、一般企業、通信事業者向けに提供する。

 特に一般企業では、スマートフォンをはじめとするモバイル機器のビジネス利用が広がり、個人所有や会社所有による多数の端末の運用管理やセキュリティ管理が大きな課題となっている。同社では、管理者がワイヤレスネットワーク経由で各端末を集中管理するためのソリューションを提供する。紛失・盗難対策やユーザー認証、データ保護といった機能が利用できるとしている。

 個人および一般企業向け製品の多くは、既に海外では発売済みとなっており、国内未発売製品の提供は検討中という。また、通信事業者向けには事業者ネットワーク内でのマルウェアやスパムの拡散によるサービス品質の低下を防止するソリューションを近く発表する。

 PGP、GuardianEdge、VeriSignの統合では、企業向け製品の機能強化やブランディングの刷新などを進める。

 製品面では、PGPおよびGuardianEdgeの暗号化機能やデバイス管理機能を、エンドポイントセキュリティ製品や情報漏えい防止(DLP)製品に統合し、サーバやPC、USBメモリなどにおけるデータ保護を強化する方針。暗号化機能については、米Intelが今年初めに発表したクライアント管理技術「vPro」の最新版と連携し、暗号化処理の高速化や、紛失・盗難時に遠隔での端末のロックおよびデータ消去が可能になる。対応製品は米国当局の承認を経て、2011年冬の発売を見込んでいるという。

新しいロゴデザイン

 ブランディングでは、VeriSignのシンボルマークであった「チェックマーク」を、社名およびNorton、企業向けのホスティングサービスの各ブランドに共通のシンボルとして採用し、ロゴデザインを変更する。

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