IBMが発表したビジネス分析ソフトの最新版は、同社が昨年買収したSPSSの技術が盛り込まれている。
米IBMが先月リリースしたビジネス分析ソフトウェア「IBM Cognos Business Intelligence V10.1(Cognos 10)」は、同社が昨年10月に買収を完了した米SPSSのデータ分析技術との連携が図られている。Cognos 10の開発責任者で、同社ソフトウェア事業担当副社長を務めるエリック・ヤウ氏は、その特徴として3つのポイントを挙げた。
まずは、SPSSの統計エンジンを取り入れて、Cognosのレポーティング機能と組み合わせた点である。例えば、製造業では、生産部門のユーザーがこの統計エンジンを使ってコントロールチャート(管理図)やボックスチャート(箱ひげ図)などのレポートを作成し、それらを組織内部の関係者に配布できるという。
2つ目は、データマイニングツール「SPSS Modeler」の実装である。同ツールは、顧客データや販売データなど企業に蓄積されるさまざまなデータを1つのプラットフォーム上で迅速に分析して、予測や洞察を得るためのもの。これを組み合わせることで、Cognos 10で定義されているあらゆるデータ(SAPやOracle、Teradataなど他社のデータであっても)読み込むことができる。
3つ目は、例えば、売り上げスコアや営業スコアなどSPSSで構築されたデータが、特に追加作業することなくメタデータとしてCognosで作成される点である。
こうした特徴を通じて、ヤウ氏が強調したのが「予測」の視点である。従来のデータ分析ツールは、主に過去や現在(リアルタイム)の情報を取り込んで分析することにとどまっていたが、経営戦略に生きる高度なビジネス分析を実践するためには、業績予測など未来の視点が不可欠である。「3つの時間軸でデータを分析するとともに、それらのデータをシームレスに活用できるのがCognosとSPSSの大きな統合メリットといえるだろう」とヤウ氏は力を込めた。
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