「情報と人」が中心のアプローチ――シマンテックが取り組みを紹介

シマンテックはユーザーカンファレンスを開催。経営ビジョンに基づいた同社の戦略を説明した。

» 2010年12月02日 07時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]
米Symantec エンリケ・セーラム社長兼CEO

 シマンテックは12月1日、ユーザーカンファレンス「Symantec VISION 2010 TOKYO」を都内で開催した。基調講演では新たに策定した経営ビジョンに基づく取り組みを、米Symantec エンリケ・セーラム社長兼CEO、シマンテックの河村浩明社長、日本ベリサインの古市克典社長がそれぞれ紹介した。

 冒頭でセーラム氏は、ITが人間の日常生活において身近な存在になり、1人のユーザーがプライベートと仕事の両面でさまざまな情報を活用する時代が到来していると述べた。モビリティ化やソーシャル化、仮想化、クラウド化がこの変化を後押しする。その一方でデータの爆発的な増加や新たなセキュリティ脅威の出現という課題も生じているという。

 セーラム氏は、「人と情報を中心にしてITの役割を考えるべきであり、われわれは信頼を実現することが最も重要になると考えている」と、同社の経営ビジョンを説明した。(関連記事参照)

 同氏よれば、情報を利用しようとする人間が「本人」であるという信頼や、その情報が「正しい」ものであるという信頼を証明できることが不可欠という。「その人は誰か、その情報はいつ作成されたのかといった属性によって、正しい権限に基づくアクセス手段と管理を実現できる」(セーラム氏)。同社では、3月に発表した「Data Insight」という技術で、この経営ビジョンの一部を具体化しつつある。

シマンテックの河村浩明社長

 シマンテックの河村氏は、企業セキュリティとクラウドにおける同社の取り組みを紹介した。

 Symantecは今年、暗号化ベンダーの米PGPや米GuardianEdge米VeriSignのセキュリティ事業日本ベリサインを買収している。河村氏は、これらの買収が「情報保護」ソリューションの拡充を目指す同社の戦略に基づくものと説明。「情報を保護するための手段をスイート製品として提供し、適切な運用環境の実現を支援する」と語る。スイート製品によってセキュリティ対策をシンプルにし、運用に伴うユーザーの負担を軽減させていく狙いもあるという。

 またクラウド分野において、同社は「サービス事業者」と「クラウドベンダー」の2つの顔を持つという。「サービス事業者」の面では企業向けにメール/Webセキュリティやアーカイブなどのサービスを提供し、既に3万2000社が利用する。個人向けにはノートンブランドでバックアップサービスを展開し、87ペタバイトものデータを預かっている。

 河村氏は、これらのサービスを自社の製品やデータセンターによって提供している点を強調。「自らがユーザーとなってクラウドに求められる効率性や可用性、安全性に関する実績を積み重ねており、そのノウハウをクラウド事業者に提供していく」と述べた。

日本ベリサインの古市克典社長

 日本ベリサインの古市氏は、Symantecとの連携について触れ、同社のサーバ証明書や認証の製品が、既にSymantecのクラウドサービスや情報漏えい対策製品に対応していることを明らかにした。

 古市氏は、特にインターネットを取り巻くマルウェアや情報盗難などの脅威からユーザーを保護するという点で、同社とSymantecの役割がより重要になると語る。Webサイトの実在性や、そこでやりとりされる情報の安全性について、従来以上に手厚いセキュリティ対策を提供できるようになるという。

 「セキュリティ対策において埋めなければならない穴が、まだ数多く残されている。Symantecとの新たな体制によって、ユーザーと情報を保護していく手段を提供したい」(古市氏)と話している。

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