「寝ているサーバをなくしたい」── 一歩先ゆくユーザー視点の仮想化ソリューション

パナソニック電工インフォメーションシステムズは12月2日、富士通のブレードサーバ「PRIMERGY BX900」用の仮想化ソリューション、「PAN Manager Software」を販売・サポートしていくことを明らかにした。

» 2010年12月03日 12時06分 公開
[浅井英二,ITmedia]
(上)大和総研の鈴木専務執行役員(下)パナソニック電工ISの前川社長

 「寝ているサーバをなくしたい」── 大和証券グループの情報システムを担当する大和総研の鈴木孝一専務執行役員はサーバ仮想化の狙いをこう話す。

 12月2日、パナソニック電工インフォメーションシステムズは、そうした企業ユーザーの声にこたえるべく、富士通のブレードサーバ「PRIMERGY BX900」用の仮想化ソリューション、「PAN Manager Software」を販売・サポートしていくことを明らかにした。

 PAN(Processing Area Network)は、米Egeneraが「ストレージにおけるSAN(Storage Area Network)と同じ発想をプロセシングに持ち込めないか」と開発したユニークなアーキテクチャー。SANはストレージをコンピュータから切り離し、プールすることで、必要に応じてストレージを拡張することを容易にしたり、集約することで無駄を省ける。PANは、同じことをプロセシングでもやろうというのだ。仮想化ソフトウェアとしては、1つのCPU上に複数の仮想マシンを稼働させるXenやVMwareなどがよく知られているが、レイヤが異なる。

 Egeneraは、ミッションクリティカルな業務に向け、ハードウェアとソフトウェアと一体化させたハイエンドなブレードサーバシステム、BladeFrameを提供してきたが、2008年には他社製のブレードサーバにPAN Managerを移植、DellにOEMを開始した。

 「われわれは異なるベンダーの物理および仮想サーバ資源をプールし、単一のビューで管理できる唯一のベンダー」とピート・マンカCEOが話すとおり、同社は、Dellや富士通だけでなく、さまざまなベンダーのサーバにPAN Managerを移植していく「PAN Everywhere」戦略を推し進めている。

 今回、富士通向けのPAN Manager Softwareを販売・サポートすることになったパナソニック電工ISは、2004年にEgeneraのBladeFrameを採用、現在は350ブレードを稼働させる国内最大規模のユーザー企業であり、Dell向けのPAN Systemもアジア太平洋地域では第1号ユーザーとなっている。都内で行われた記者発表会で同社の前川一博社長は、「PAN Managerを次世代情報システム基盤ソリューションの中核に据えていく」と話す。

 ユーザー系IT企業である同社は10月上旬、同じ立ち位置の大和総研ホールディングス、新日鉄ソリューションズとともに基幹系システムの領域でもクラウドを活用できるよう共同で技術推進グループを立ち上げることで合意している。

 この日の発表会に同席した大和総研の鈴木氏は、「ユーザーにとっては、技術よりもニーズを満たしてくれることが大切。大和証券でもデスクトップの仮想化を進めているが、空いているコンピュータリソースがあれば、それを必要とするところに臨機応変に転用したいから。こうしたユーザーニーズをEgeneraに訴えていきたい」と話した。

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