「反WikiLeaks」とみなされたWebサイトが攻撃を受け、相次いでダウンした。WikiLeaksウイルスも出現し、「サイバー戦争に近い様相」とSophosは言う。
告発サイト「WikiLeaks」の創設者ジュリアン・アサンジ氏が逮捕されたことを受け、スウェーデン検察局やクレジットカード大手MasterCardなどのWebサイトが8日、相次いでサイバー攻撃を受けてダウンした。これとは別に、WikiLeaksをかたる新種のウイルスも出現している。セキュリティ各社がブログなどで伝えた。
米セキュリティ機関SANS Internet Storm Centerや英セキュリティ企業Sophosによると、攻撃を受けているのは「反WikiLeaks」とみなされたWebサイトで、攻撃側が自発的な参加者を募っているとのうわさもあるという。
報道によると、アサンジ氏の逮捕状を請求したスウェーデン検察局のWebサイトは、サービス妨害(DDoS)とみられる攻撃を受けて一時ダウンした。
MasterCardのWebサイトがダウンした事件では、「Operation Payback」を名乗る集団が攻撃を仕掛けたと公言しているという。同社がWikiLeaksとの取引停止を発表したことに対する報復と見られ、クレジットカードの決済処理に使われるSecureCodeサービスにも障害が出ているという。
こうした事態についてSophosは、言論の自由を訴える側と情報リークの危険性を訴える側が対立し、「前例のないサイバー戦争に近い様相を呈している」と指摘した。事態収拾にはまだほど遠いとの見方を示している。
一方、米Symantecによれば、新種のウイルスは政府機関を狙った標的型攻撃で浮上した。この攻撃では「WikiLeaks.pdf」という名称のファイルを添付したメールが届き、関連情報の提供に見せかけて、ユーザーがファイルを開くように仕向けてある。しかしこのPDFには暗号化された実行可能ファイルが仕込んであり、ファイルを開くと実行されてしまうという。
これとは別に、WikiLeaksからメールが届いたように見せかけて悪質なWebサイトに誘導し、マルウェアに感染させようとする手口も出回っているという。
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