あのときAppleを買収していたら――マクニーリー元CEO、Sunの過去を語る(1/3 ページ)

Sunの元CEOであるスコット・マクニーリー氏はあるディナーイベントで、合意直前までいったAppleの買収や、同氏の“最大の過ち”について語った。

» 2011年03月02日 08時00分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 1990年代半ばに米Sun Microsystemsが米Appleを買収できていたとしたら、今日、iPhone、iPad、iPodが存在していただろうか。

 この疑問に対して、Sunのスコット・マクニーリー元CEOは「ノー」と答える。「もしわれわれがAppleを買収していたら、iPodもiPadも存在しなかっただろう。私がそんな計画をつぶしてしまっただろう」――2月24日(現地時間)にカリフォルニア州にあるサンタクララ・コンベンションセンターのChurchill Clubで開かれたディナーイベントにおいて、マクニーリー氏はSunのもう1人の元幹部、エド・ザンダー氏との対話でそう打ち明けた。

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 このトークショーのメインゲストとして出演したマクニーリー氏(写真)とザンダー氏は、Sunがサーバ、ワークステーション、データストレージシステム、データセンター向けUNIXソフトウェアで世界有数のメーカーだったころの思い出を語った。同社はSPARCアーキテクチャを採用した企業向けプロセッサでも堅実なビジネスを展開していた。

 1980年代および1990年代にはウォール街の寵児だったSunは、2000年代に経営難に陥り、ついに2010年1月、米Oracleに74億ドルで買収された。

 Sunの経営が最も順調だったころ、同社はAppleの買収に動いた。そのころ、Appleは創設以来最大の経営危機に見舞われていた。

 「Sunの経営が最高潮に達していた1995年末から1996年初め、われわれは文字通りあと数時間でAppleを1株当たり約5〜6ドルで買収するところまでこぎ着けた」とザンダー氏は語った。同氏はSunのソフトウェアビジネスを一大部門に築き上げた立役者で、師と仰ぐマクニーリー氏にその功績が認められて社長に抜擢された。

 「本当のことを言えば、あのころサンディエゴで行われたアナリスト向け説明会でAppleの買収を発表する準備をしていた。買収して何をするのかは分からなかったが、とにかく買収しようと思ったのだ。当時、AppleにはCEOはおらず、スティーブ(ジョブズ)もまだ復帰していなかった。だが結局、買収には至らなかった。(マクニーリー氏に向かって)なぜ買収しなかったのかな?」

 「買収したかったのだが」とマクニーリー氏は答えた。「Appleには投資銀行家が付いていて、それで非常にややこしくなった。その銀行家が基本的に買収を阻んだのだ。彼はわれわれが受け入れられない多数の条件を契約に盛り込んだのだ」

 「考えてみれば、あの夜の結果が違っていたら、いったいどうなっていただろう」とザンダー氏は言った。

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