iPhoneでユーザーの位置情報を記録した隠しファイルから情報を取得して、自分がいつどこにいたかを地図上に示すアプリが公表された。
AppleのiPhoneと3G対応のiPadがユーザーの位置情報を定期的に記録して隠しファイルに保存していたことが分かったと、研究者が技術情報サイトのO'Reilly radarで発表した。
研究者のアレスデア・アラン、ピート・ウォーデンの両氏によると、ユーザーの位置情報とタイムスタンプは、iOS 4の登場以降、記録されるようになったという。両氏はiPhoneユーザーにこの事実を確認してもらうため、問題のファイルから位置情報を取得して、自分がいつどこにいたかを地図上に示すオープンソースアプリケーション「iPhone Tracker」を開発、公開した。
問題のファイルは暗号化などの保護がかけられておらず、端末を同期したマシン上にも保存されるため、不正に利用される恐れもあると両氏は指摘する。ただし、現時点でこの情報がAppleなど外部に転送されている形跡はないという。Appleの意図は不明だが、意図的にやっていることは明らかだと両氏は判断。セキュリティとプライバシーにも影響する問題だとしてAppleに連絡を取ったが、返答はなかったという。
ユーザーができる当面の対策としては、iTunes経由でバックアップファイルを暗号化することを挙げている。
一方、セキュリティ企業のF-Secureは4月21日、「iPhoneは1日に2回、あなたの位置情報をAppleに送っている」とする記事をブログに掲載した。iPhoneの位置情報収集は、Appleのグローバルロケーションデータベースプロジェクトと関係があると推測している。
F-Secureは、米下院議員が2010年7月に公表したAppleの法務担当上級副社長ブルース・セウェル氏の書簡をブログに掲載。「端末が携帯電話ネットワークに接続する際、AppleはWi-Fiアクセスポイント情報とGPS座標を自動的に収集する。(中略)この情報とGPS座標は端末上に保存され、Appleに送信される情報に追加される」とのくだりを紹介した。
今回発覚した位置情報の収集は、この機能に関連があるとF-Secureは見る。「Appleには送られていないとしても、iPhoneが常にユーザーの位置情報を収集しているのは明らか」と同社は結論付けている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.