シマンテック、仮想化アプリの障害復旧を支援する最新版ソフトを発売

シマンテックは、仮想化アプリケーションの可用性を高める「Symantec ApplicationHA」の最新版を発表した。災害時の迅速なアプリケーションの復旧を支援する機能を追加した。

» 2011年06月17日 16時42分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 シマンテックは6月17日、仮想化したアプリケーションの可用性を向上させるソフトウェア製品の最新版「Symantec ApplicationHA 5.1 SP2」を発表した。災害などが発生した際に、迅速な復旧を可能にするための機能強化を図っている。

 Symantec ApplicationHAは、VMware環境の仮想マシン上で稼働するアプリケーションの監視や停止・再起動などの操作、リカバリなどを行うもので、「VMware vCenter」とも連係動作ができる。国内では2010年9月に発売された。

 最新版では、仮想マシンを自動的にリカバリさせる「VMware vCenter Site Recovery Manager(SRM)」とも連係する。両製品が協調して動作し、SRMがリカバリさせた仮想マシン上の各種アプリケーションを、Symantec ApplicationHAで自動的にリカバリさせるという運用が可能になる。

数百のアプリケーションの稼働状態を一元的に管理できるダッシュボード

 また、レポートや管理を行うためのダッシュボート機能も搭載され、複数の仮想マシン上で稼働している数百種類以上のアプリケーションの状態を一元的に管理できるようになった。アプリケーションごとに健全性を確認したり、コンプライアンスレポートを作成したりできるという。このほか、サポート対象のゲストOSに、Windows Server 2003(32ビット/R2 32ビット)などを追加した。

 製品価格は仮想マシン1台当たり8万2400円(税別)で、同日から提供を開始している。

DRの鍵は自動化とテストの実施

ダグ・マシューズ氏

 製品発表と併せて行われた記者説明会では、米Symantec ストレージおよびアベイラビリティ管理グループのシニアディレクター ダグ・マシューズ氏と、同シニア マネジャーのジェニファー・エラード氏が、災害復旧(DR)対策における問題点や同社のソリューションを紹介した。

 マシューズ氏は、ITシステムのDRを実施する際の課題として、手作業による対応がダウンタイム(停止時間)の長期化につながると指摘した。一般的にITシステムのDR対策では、アプリケーションの重要性に応じて対応手順が決められ、優先度ごとに許容すべきダウンタイムやデータ損失の範囲が目標値として設定される。基幹業務アプリケーションを運用システムは、1時間以内などできるだけ早く復旧させ、データ損失をほぼゼロにすることが目標になる。

 しかしマシューズ氏は、DR対策の内容を最適なものにしていても、手作業での対応では目標を達成できず、多くの場合は4時間程度かかってしまうと話す。「実際には社員の安否確認や安全性確保などの作業も同時並行で進めなくてはならない。それを改善するにはシステムの復旧プロセスを自動化すべき」と話した。

ジェニファー・エラード氏

 今回発表したSymantec ApplicationHAの最新版やストレージ管理ツールの「Vritas Operations Manager」などの同社製品では、異種混在のストレージ環境でも自動リカバリによって、迅速なシステムの回復を可能にしていると強調した。

 またエラード氏は、同社がユーザー企業を対象に2010年に実施したDRテストに関する調査結果を紹介。82%が年1回以上の頻度でテストを実施していたが、40%はダウンタイムやデータ損失の目標を達成できていなかったという。

 DRテストの問題点としてエラード氏は、予算不足や通常業務への影響などを挙げた。テスト実施に必要なコストは平均60.7万ドルに上るという。いざという時にDRを計画通りに進めるためには、、平時からDRの施策を十分に確認しておくことが重要だと述べた。このため、同社ではVritas Cluster Serverに、Fire DrillというDRのテスト機能を備えているという。システムを通常運用したままでも、試験的にシステムのフェイルオーバをさせることができ、DR対策が機能するかを確認できるとしている。

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