Check Point Software TechnologiesのCFOおよびセールス担当副社長に、急成長を見せるアジア市場への印象や事業戦略を聞いた。
Check Point Software Technologiesは、9月1〜2日にアジア太平洋地区のユーザーおよびパートナー企業向けのカンファレンス「Check Point Experience 2011」をタイの首都バンコクで開催した。最高財務責任者(CFO)のタル・ペイン氏とアジア太平洋地域セールス担当副社長のイツァク・ウェインレブ氏に、アジア市場の展望と事業戦略について聞いた。
両氏は、東日本大震災後の日本市場の状況について「まず被災者の方々には心からお見舞いを申し上げたい。ビジネスへの影響は全くなく、今後も重要な市場であることに変わりない」と語っている。
ペイン氏によれば、同社は毎年30〜40%の成長を維持しているが、特にアジア市場ではここ数年は60〜80%の成長を達成しているという。これをけん引しているのは主に中国や東南アジアだが、ウェインレブ氏は「日本も2010年に50%近い成長を遂げた」と述べた。
同社は2009年に「Software Blade」というアーキテクチャを発表している。これはセキュリティアプライアンスにさまざまなセキュリティ機能を容易に実装できるというもので、同社はセキュリティアプライアンスをファイアウォールやIPS(不正侵入防止)の専用機ではなく、単一の統合型システムとして利用することをユーザーに提案している。
アプライアンスとソフトウェアが8割、ソフトウェア単体が2割という売上構成であり、「セキュリティ脅威の複雑化に伴って対策が複雑化し、運用の手間やコストの増加を招いた。Software Bladeはこれを解決するもので、ユーザーの支持を順調に獲できている」(ペイン氏)という。このSoftware Bladeでは、IPSとDLP(情報漏えい対策)の企業導入が伸びている。
また同社は、今回のカンファレンスで「3D Security」という構想も発表。人間とビジネスプロセスに立脚してセキュリティを強化する方法を提供する。例えば、社員が重要なデータを誤ってメールで送信してしまいそうになれば、ID管理やアクセス制御、DLPなどの機能が連携して動作し、これを止める。同時にユーザーに止めた理由を説明して、理解度や対応の判断を促す。
このような仕組みはSoftware Bladeによって可能になったといい、ペイン氏は「セキュリティ対策の統合によってユーザーの意識を高める」との同社の戦略が一貫性のあるものだと強調する。経済成長やグローバル化の動きが著しく、組織の規模や形態の変化が激しいアジア企業のセキュリティニーズを満たせるだろうと述べた。
ウェインレブ氏は、企業顧客に8月に発表した新アプライアンスや、Software Bladeを訴求していくと語る。「ハードウェアは概ね3〜5年使うが、日本では7年というところも多い。長期運用に耐える機器にソフトウェアで対策機能を容易に追加できるメリットを提案していく」(同氏)
新アプライアンスの「Check Point 61000」では、将来的に毎秒1テラビットのファイアウォールスループットを実現する。同時発表した「Check Point 21400」も毎秒数百ギガビットのスループットを達成させる計画。いずれも大規模データセンターや通信事業者の基幹ネットワークでの利用を想定し、証券取引システムなどの分野では既に顕在化した性能ニーズとなる。
また日本での営業および販売体制について、通信事業者や大規模企業に対してこれまでのパートナー経由から、パートナーの共同での活動に軸足を移す。顧客への直接のソリューション提案に同社が参加することで、より顧客ニーズにきめ細やかに対応する必要性が高まっているためとの理由だ。
「アフターケアやサービスをより充実させてほしいという声も強い。日本での事業体制は今後も拡充していく」(ウェインレブ氏)としている。
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