ブロケードが統合型イーサネットスイッチを拡充、FCも接続可能に

データセンターのネットワーク統合を支援するとした「Brocade VDX」スイッチの新機種などを発表した。

» 2011年09月09日 16時55分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 ブロケード コミュニケーションズ システムズは9月9日、イーサネットスイッチの新機種「Brocade VDX 6710」「Brocade VDX 6730」シリーズおよびネットワーク管理などのソフトウェアのバージョンアップを発表した。併せてデータセンターのネットワーク統合を支援するとした同社の製品戦略も紹介した。

 Brocade VDX 6710およびBrocade VDX 6730シリーズは、2010年11月に発売したBrocade VDX 6720シリーズを含め、同社が提唱する「イーサネットファブリック」構想を具体化した製品となる。イーサネットファブリックとは、「データセンターでオペレーションフリーのネットワークを実現する」(青葉雅和社長)という。データセンター内での仮想化技術の適用範囲が広がる中で、ネットワークの運用業務が複雑になっているため、ネットワークも仮想的に統合し、運用担当者の負担を軽減することを目指している。

 Brocade VDX 6710は、ギガビットイーサネット(GbE)ポートを48基搭載する。10GbpsのGbEを主体とする6720シリーズと組み合わせて利用することで、複数のスイッチを1台の論理スイッチとして利用できる「Brocade Virtual Cluster Switching(VCS)」を構成できるようになる。Brocade VDX 6730シリーズは、6720シリーズをベースにファイバチャンネル(FC)のポートを追加した。1/10GbEポート24基とFCポート8基を搭載する「Brocade VDX 6730-32」と、1/10GbEポート60基とFCポート16基を搭載する「Brocade VDX 6730-76」の2機種をラインアップする。

Brocade VDX 6730(左)およびBrocade VDX 6710の製品詳細(クリックで拡大)

 ソフトウェアでは、スイッチ用OS「Brocade Network OS 2.1」でVCSを構成するスイッチを24台までサポートした。約1000基分のポートに相当し、VMware vCenterでは1000台までの物理サーバを管理できることから、「仮想化環境としては上限に近い規模に対応する」(小宮崇博 データセンターテクノロジー部長)という。またネットワーク管理ソフトの「Brocade Network Advisor」ではSANやLANを含め複数種類のネットワークを一元的に管理できるようにした。

 VMware製品との連携も強化し、仮想マシンが構築されるとスイッチ側でそれを認識し、最適なネットワーク構成を自動的に適用することが可能になった。サーバ管理者がネットワークの複雑な作業をしなくてもよいように、また、ネットワーク管理者がサーバ増設での対応に追われないことを狙ったものだという。今後はその他のハイパーバイザー製品にも対応していく。

Brocade VDX 6730を利用したSAN、LANの統合化イメージ

データセンター連携を進める

 同社は6月に、次世代型のデータセンターネットワークアーキテクチャ「CloudPlex」を発表した。パブリッククラウドやプライベートクラウド、ハイブリットクラウドの統合を実現するものといい、同社では5段階のフェーズでこれを具体化させていく計画。今回でネットワーク統合を実現する製品の拡充を進めるとした第2フェーズに入り、今後はデータセンター間の接続を実現するために「OpenStuck」プロジェクトでの成果も取り入れた製品を投入する。

Virtual Compute Blockでのパートナー

 また、事前検証済みの推奨構成による製品ソリューション「Virtual Compute Block」も発表した。これは同社と協業するハイパーバイザーやサーバ、ストレージの各ベンダーから提供されるが、ネットワーク部についてはブロケードの技術や製品を採用したものなる。

 CloudPlexやVCSなどの同社のビジネスは、水平分業型という位置付けだが、Virtual Compute Blockについては垂直統合型モデルに当たる。青葉社長は、「ユーザーによってマルチベンダーかシングルベンダーかに分かれるだろう。それぞれのニーズに応えられる形で、ソリューションを提供したい」と述べている。

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