勝ち残れ! 中堅・中小企業

大企業での経験を生かした起業が日本を元気に中堅中小、勝利の方程式

セブン-イレブンで学んだフランチャイズ店舗管理のノウハウをアウトソーシングしようと30代半ばで起業。福井社長は、「小売店や飲食店の現場を活性化し、日本をもっと元気にしたい」と話す。

» 2011年10月12日 08時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 「大きいことはいいことだ」── 1960年代、有名作曲家がチョコレートのテレビコマーシャルに登場し、富士山を背景にこう言い放った。しかし、大きいばかりがいいわけではない。今こそこの国、ニッポンが考え直すべきところだろう。

 第二次世界大戦後、日本は10年も経たないうちに復興を遂げ、その後もこの国は、世界にも例のない、「東洋の奇跡」をやってのけ、1960年代後半にはGNP(国民総生産)第2位に躍り出る。国民が勤勉に働き、貯蓄に励み、それが金融機関を介して民間投資に回った。大企業を中心に長期雇用の慣習、いわゆる「終身雇用」が一般化し、1990年代初めのバブル崩壊まではすべてが上手く回った。

 しかし、1990年代の「失われた10年」(平成不況)は21世紀に入った今も克服できず、「失われた20年」とも皮肉られているのはご存じのとおり。リーマンブラザーズ破綻に端を発した世界金融危機や先の大震災、そして超円高が相次いで日本を揺さぶっている。

 昔語りを延々とするつもりはない。とどのつまり、この国を効率良く支えてきた仕組みがもはや今の時代には合わず、日本や企業は変わる必要に迫られながら、どうにも一歩が踏み出せないでいる。新しい環境に合った仕組みづくりを古い仕組みが邪魔しているかのようだ。

 新しい成長産業の育成や移行、そして成熟した業界の再編も、依然として大企業が力を温存する日本ではなかなか進まない。資本の論理が素直に働けば、成長分野には投資が集まり、新興企業が生まれ、大企業からの分社化も促進されるはずだが、どうにかならないのだろうか。

「失われた20年」のもやもやは起業家が晴らす

 「中堅中小、勝利の方程式」と銘打った短期連載でメディアフラッグの福井康夫社長をお訪ねし、お話を聞くうち、「失われた20年」のもやもやも、彼のようなベンチャー起業家が晴らしてくれるのではないか、と思うようになった。

 福井氏は大学を卒業後、旧三和銀行とセブン-イレブン・ジャパンを経て独立、まだ30代半ばだった2004年にメディアフラッグを起業した。セブン-イレブンで彼が学んだフランチャイズ店舗管理のノウハウをアウトソーシングすることで、中小規模の流通チェーンや飲食チェーンのマーケティング活動に貢献したいと考えたのがきっかけだった。

 セブン-イレブンのフランチャイズ店舗管理は、店舗情報を共有化するための情報システムとスーパーバイザーによる店舗管理がうまく融合し、「IT」と「人」が両輪となって機能しているといわれている。福井氏は、同社での経験を生かし、人が関わる調査と、モバイルツールを上手く組み合わせ、クライアントの「現場」を把握し、現場で今まさに起こっている課題を発見・解決するサービスによって成功を収めている。

 「小売店や飲食店の現場を活性化し、日本をもっと元気にしたいし、きめ細かなサービス、日本のおもてなしの精神を世界にも発信していきたい」と福井氏の夢は大きい。

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