設立3周年を前に、日本データセンター協会が2012年度の運営方針などを説明している。
日本データセンター協会は3月15日、都内で2012年度の運営方針説明会を開催した。「節電・ピーク制御への対応」「海外への情報発信」「人材育成」の3つを重点活動と取り組むと表明した。
節電・ピーク制御への対応では特に電力会社や行政機関との関係構築の強化を掲げる。会見した理事・運営委員長の江崎浩 東京大学大学院教授は、「社会の情報基盤としてデータセンターが果たす役割は大きく、事業継続を通じて社会や企業の活動を支えていくことが重要。節電に対しては、電力のピークを抑制することに貢献したい」と述べた。
2011年夏に政府および東京電力が実施した大口需要家に対する節電要請では、データセンターは情報通信サービス上の重要性から対象外となった。だが、東京電力福島第一原子力発電所の事故を契機に全国で原発停止が相次ぎ、今夏には再度の電力不足が懸念されている。火力発電への依存度の高まりと燃料調達費の増加を背景にした電気料金の値上げも実施される。
同協会は、電力会社など関係機関との関係強化を図ることで、電力不足や電力コストの増大に対処する考えという。江崎氏は、「情報システムをデータセンターに集め、安定した運営を図ることで、結果的に社会全体で使用する電力の削減に寄与したい」と語った。
また海外への情報発信については、データセンター運営における“日本品質”をアピールすることで、海外企業の日本進出や投資拡大につなげたいという。データセンター事業者の国際団体DataCenterDynamicsが2011年に発表した調査では、日本はデータセンターのリスクレベルが20カ国中2番目に高いとされた。
江崎氏によれば、これには自然災害とエネルギーコストが大きく影響しているものの、「自然災害については東日本大震災下で会員企業のデータセンターのほぼ全てが運用を継続した。調査後に開かれたDataCenterDynamicsの会合の場でもその実情を説明しており、海外の評価を改めていけるだろう」と話している。
人材育成では「人材マネジメントワーキンググループ」において、データセンターの運用に必要とされるスキルや人材像の策定を進める。資格制度などの創設も視野に、外部機関との連携を図っていくとした。
江崎氏は、「重点活動を通じてデータセンターが日本の情報通信基盤や国際競争力を支える存在となることを目指したい」と抱負を語っている。
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