日本IBMがトップ人事、新社長にマーティン・イェッター氏が就任へ橋本・現社長は新会長に

5月15日付で現社長の橋本孝之氏が新会長に、米IBM経営戦略担当バイスプレジデントのイェッター氏が新社長に就任する。

» 2012年03月30日 20時28分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 日本IBMは3月30日、5月15日付で発令する役員人事を発表した。同日付で代表取締役社長 執行役員の橋本孝之氏が取締役会長に、IBMコーポレートストラテジー担当バイスプレジデント兼エンタープライズイニシアティブ担当ジェネラルマネージャーのマーティン・イェッター氏が新社長に就任する。

5月15日付で会長に就任する橋本孝之・現社長(左)と新社長のマーティン・イェッター氏

 イェッター氏は2011年5月から現職。1986年にアプリケーションエンジニアとしてIBMに入社し、50カ国以上でコンサルティングやシステム統合、アプリケーションサービスなどの事業責任者などを経験。現職以前はIBMドイツ法人の社長を4年にわたって務めた。4月1日に日本IBMの取締役に就任するが、5月14日まで現職を兼務する。

 人事会見を行った橋本氏は、イェッター氏の起用について「IBMのグローバルな経営資源を日本市場に集中させるため」と説明。「リーマンショック直後の2009年1月に就任して以降、急速に進むグローバル化の波に直面する日本の顧客の変革を支援するべく、日本IBM自身の変革にもまい進してきた。これまでを第一フェーズとすればその取り組みは完了した。顧客のグローバル化がさらに進む第二フェーズではIBMのグローバルな人材や知見、経験といった資源を日本市場へさらに投資し、日本IBM自身の変革を継続しなければならないと判断した」と述べた。

 イェッター氏は、経済のグローバル化が急速に進展し、新興国が台頭する中で「日本をはじめ成熟市場の企業や政府、官公庁では従来のビジネスモデルが通用しなくなり、変革の必要に迫られている。日本とドイツは文化が違っても、高度な経済や産業基盤、教育制度を持ち、国内に多数の競合企業が存在する点では非常に似通っている。ドイツでの経験も生かし、日本IBMの顧客の変革を全力で支援していきたい」と抱負を語った。

 同社では長らく日本人が歴代の社長職を務めてきたことから、会見では「IBMの経営方針が“日本人を起用しない”というものに変わったのか」というメディアからの質問が相次いだ。

 だが、橋本氏はこれを明確に否定し、「グローバルカンパニーのIBMとしては“自然な流れ”であり、現在の状況をみてイェッター氏が最も適任であることから取締役会で指名した」と説明。「実際には(社長就任から)3年ほどだが、10年分の仕事をしたという感じがするほど、世界が激しいスピードで変化していることを痛感している。新体制以降も取締役に残り、イェッター氏と二人三脚で引き続き日本の顧客の支援に注力したい」と述べた。

 なお、今回の取締役人事では最高顧問の北城恪太郎氏や相談役に、会長の大歳卓麻氏が最高顧問に就任する。

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