企業に対するモバイルユーザーの“BYOD”要求、日本は低調との結果

Juniper Networksが日米英独中の5カ国で実施したモバイル活用に関する意識調査の結果を発表した。

» 2012年05月22日 19時32分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 米Juniper Networksは5月22日、世界5カ国の企業IT担当者とモバイルユーザーを対象に実施したモバイル活用に関する意識調査のレポート「Trusted Mobility Index」を発表した。日本と米国、英国、ドイツ、中国で4037人から有効回答を得た。

 それによると、モバイルユーザーは平均で3台の端末を所有し、18%は5台以上を所有していた。モバイル端末でオンラインバンキングや医療サービスの機密情報を利用するというユーザーは76%(日本は65%)、また業務データにアクセスするユーザーは5カ国平均では10人中9人、日本は10人中8人だった。

 企業のIT担当者の41%は、社内に管理対象外の端末が持ち込まれることを課題としており、このうちの41%は端末の盗難や紛失によるデータ流出が心配だとした。40%近いIT担当者がモバイルの端末の管理を、32%はモバイル端末がマルウェア感染の温床になることを危惧していると答えた。

 モバイルセキュリティへの取り組みで、「自信がある」とのIT担当者は15%(日本は4%)、「やや自信がある」は18%(同16%)、「よく分からない」は63%(同76%)だった。

 職場でのモバイル端末の利用状況は世界平均が56%、日本が33%。業務利用が認められていない端末を使用しているというモバイルユーザーは世界平均が41%、日本が18%、個人端末の利用でセキュリティ上の問題が発生したとの経験は世界平均が30%、日本が17%だった。

 また個人所有の端末を業務現場に持ち込む、いわゆる「BYOD(Bring Your Own Device)」に対する日本のユーザーの意識では、59%が「最新端末も使いたい」、74%が「会社で必要なセキュリティ対策を講じるべき」と回答。一方、IT担当者の42%が「ユーザーの要求がプレッシャーになっている」と答えた。

企業でのモバイル端末のサポート状況(出典:Juniper Networks)
モバイルに対するセキュリティや信頼をどこに求めるか(同上)

 モバイルセキュリティソリューションズ アジア太平洋地区担当マネジャーのデメトリス・ブース氏は、調査結果について「モバイル端末の活用の場が広がる一方で、信頼性や安全性に関する複雑な課題が生じている実態が浮き彫りになった」と解説。ネットワークと端末の両面で、企業のIT担当者や通信事業者、メーカー、セキュリティベンダーがそれぞれにモバイルの信頼性やセキュリティの向上に取り組む必要があると述べた。

 日本での傾向については「モバイル活用に対するユーザーの期待はあるものの、セキュリティ対策などの施策は企業側に受け持ってほしいという意向があり、海外に比べてBYODが進んでいない。企業の競争力確保という視点からも必要な取り組みを進めるべく」(ジュニパーネットワークスの近藤雅樹マーケティング部統括部長)という。

調査報告を行った近藤氏(左)とブース氏

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