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» 2012年06月20日 08時00分 公開

「おむつとビール」よりも大切なものがあるビッグデータいろはの「い」(2/3 ページ)

[浅井英二,ITmedia]

 「ビッグデータを生かせば、新たなインサイト(洞察)に到達しやすくなる。柔軟性を欠く既存のシステムを膨大かつ多様なデータに対応できるようにする、それがソフトウェアのパワーだ」と話すのは日本IBMのソフトウェア事業部でNetezzaのマーケティングを担当する湯本敏久部長。統計学の見地からすれば、あまりよろしくはないのだろうが、過去のデータをすべて放り込んで、パターン分析し、類似する兆候を検知することはかなりの精度で行えるはずだ。

 「情報システムを考えるうえで4つの“V”は新たな指標として今後重要になるとみている。正確さを欠くものも含む、大量のさまざまな種類のデータから瞬時にインサイトを導き出せるのか? 企業はこれらの4つの視点から情報システムを見直す必要がある」(湯本氏)

経営者は顧客に関するインサイトへ投資

 ビジネスの成長に寄与するインサイトの獲得へグローバル企業の経営者も敏感に動き始めている。

 世界64カ国、1700人を超えるCEOを対象にしたGlobal CEO Study 2012では、インタビューに応じたCEOの7割以上が、データから顧客に関する有意義な洞察を得るという能力を組織が備えるべく大きな投資をしようとしている。ソーシャルメディアで膨大な「個」のレベルのデータが生み出される今日、単なる時系列の傾向分析や平均値はおろか、セグメンテーションの手法も大雑把では色褪せてくる。やはり7割を超えるCEOが「個」客ニーズの理解向上に取り組み、レスポンスタイムの短縮にも注力し始めたと回答する。

 データのアクセス、インサイトの獲得、そしてインサイトをアクションに結び付けていく、というそれぞれの能力について聞いたところ、業績の良い企業は悪い企業とはっきりとした差が見られた。どの能力においても高業績企業は半数以上が業界他社より優れていると回答、逆に低業績企業はそれぞれ1/4にとどまっている。

 IBMがマサチューセッツ工科大学スローン校と共同で調査した結果もアナリティクス(分析)が競合他社との競争に欠かせないと考えている企業が急増、2010年の37%から2011年は58%に達しており、業績と照らし合わせてもアナリティクスを活用している企業が同業他社の業績を大幅に上回る傾向が2倍以上高いという結果が得られている。

 こうした調査結果を見るにつけ、やや心配なのは、競争優位の獲得に向けたIT投資が難しい日本企業の事情だ。情報サービス産業協会(JISA)がまとめた情報サービス産業白書2009においても、日本企業の情報投資は7割以上が業務コスト削減を目的としており、競争優位確保を目的とするものは2割に過ぎないとされている。また、データを中心とした経営を苦手とする日本企業が多いのも否定できない。

 調査会社ITRでリサーチ統括ディレクターを務める生熊清司氏にも、「ビッグデータ活用とソフトウェア投資は売上増のカギとなるか?」でIT投資の日米比較からビジネスに貢献するIT環境について書いていただいている。

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