7割以上の企業がクラウド活用に積極姿勢 ITRが調査

クラウドおよびICTアウトソーシングに関する企業動向調査をITRが実施。システムのクラウド移行が今後さらに進むとみられる。

» 2012年07月09日 13時30分 公開
[ITmedia]

 IT調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)は7月9日、国内企業の情報システムおよび経営企画担当者に向けて実施したクラウド/ICTアウトソーシング動向に関する調査結果を発表した。今後さまざまな企業でシステムのクラウド移行が加速することが分かった。

 同調査は、製造や情報通信、サービス、金融・保険など各分野で社員500人以上の企業を対象に、2012年6月8日〜11日の期間で実施。652件の回答を得た。調査によると、これからのIT戦略の方向性として「クラウドサービスを積極的に活用すべき」との回答は全体の77.8%に上った。その中で「アウトソーシングを積極的に推進する」という企業については、90.1%がクラウド活用に前向きな姿勢を示した。サービス単位でのクラウド検討、利用から、ITの構築・運用における全体最適化という目的の中にクラウドが位置付けられてきている。

 アプリケーションのクラウド化に関して、主要アプリケーションの多くはクラウド移行が進む傾向にあり、現在6〜7割が非クラウド型で構築されている基幹系アプリケーションについても、今後はクラウド型での構築を計画するという企業が半数を超えている。具体的なシステム構築手法では、プライベートクラウドを指向する企業が多く、特にプライベートクラウドと運用アウトソースを組み合わせたいとする企業が増加している。

図1 アプリケーション別の構築・運用形態(出典:ITR) 図1 アプリケーション別の構築・運用形態(出典:ITR)

 既存システムをクラウド環境へ移行する方法については、「物理環境にあるシステムを仮想統合したうえでクラウド化する」が22.4%で最も多く、「システムの再構築によってクラウド化する」(21.2%)、「未統合の仮想システムを統合したうえでクラウド化する」(13.5%)、「物理環境にあるシステムを直接クラウド化する」(11.5%)、「仮想統合されているシステムをクラウド化する」(6.6%)と続いた。クラウド化の対象となるシステムは、「自社センターに設置され、自社で運用するシステム」が31.8%で最多となった。

図2 クラウド化へ向けた移行手順(出典:ITR) 図2 クラウド化へ向けた移行手順(出典:ITR)

 同調査では、クラウド時代に向けてデータセンターに対する要件も厳しさを増すことが予見された。データセンター内はもとより、複数データセンター間においても、柔軟なリソース増強(配分)や、データ移行/バックアップへの対応を求める傾向が強く、高い拡張性を備えたデータセンターサービスを優先して選定する動きが強まるとみている。

図3 データセンター選定で必要と考える機能(出典:ITR) 図3 データセンター選定で必要と考える機能(出典:ITR)

 また、「クラウドサービスを積極的に活用する」とした回答者507人に対して、アウトソーシング事業者に求める能力を聞いたところ、「コンサルティングサービス」「移行サービス」「プライベートクラウドサービス」など、クラウドへの対応力を重視した回答が多数を占めた。このように、クラウド事業者に対する要求は、インフラやアプリケーションサービスの提供に加え、オンプレミスからクラウドへの移行、クラウド導入後のサポートまで多様化していることが分かった。

図4 アウトソーシング事業者に求めるクラウド戦略(出典:ITR) 図4 アウトソーシング事業者に求めるクラウド戦略(出典:ITR)

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