今日は、ちょっとヘビーな(当社比)話題です。
こんにちわびさび、秋近し。今週もITmedia オルタナティブ・ブログ週間アクセスランキング、元気にいきますよー。
今週私が前のめりになって読んだのは、内藤順さん(坂上忍さん似)の書評【Book】『公衆トイレと人生は後ろを向いたらやり直し ソープの帝王 鈴木正雄伝』です。世界チャンピオンを3人輩出した角海老宝石ボクシングジムや角海老宝石、そして首都圏一円に32店舗のソープランドを展開している角海老グループの元総帥 鈴木正雄氏のインタビューです。
なぜ前のめりになったのかというと、春を鬻(ひさ)ぐことを商売とする人や産業に、興味があるからです。興味の対象は主にその心理です。何を考えているのか、何か考えてきたのか。でも想像しても関連書籍を読んでも、私にはさっぱり分からないのです。いや、分からないからこそ気になるのかもしれません。
そんなわけで今もっとも興味があるのは、先日死刑判決を受けた木嶋佳苗被告です。彼女は裁判で「かつては愛人家業、および高級コールガールで飯を食っていた。そのころの月収は150万円だった」と話しています。
私が気になったのは、1億円近いお金を支援してくださった方がお亡くなりになった後、なぜ彼女はかつての稼業に復帰しなかったのかということです。記録では彼女(が関係していたと思われる)殺人は、その支援者没後から始まっています。殺人するぐらいなら元の商売に戻った方が確実、かつ効率よく稼げるのではないでしょうか。
理由として考えられるのは、
最初は「3」かなあと思っていました。裁判でかつての自分(前期としましょうか)の春能力(機能でしたっけ?)を自慢していた彼女が、後期は逆に春を介在させていないことを誇りとしていたようなので。そしてある日、もう1つの可能性を思いつきました。
4 そんな組織、もともとなかった
春を売ってご飯を食べていたのは本当かもしれないけれど、高級コールガールというのはウソで、実際は大変イタいところで働いていたのではないか。月収150万円もウソで、本当はもっとカツカツだったのではないか。
セレブっぽく振舞えるようになったのは支援者との出会い以降で、彼女はそこから人生をリセットしたのかもしれない。高級コールガールというのはつらい境遇を送ってきた彼女が作りだしたストーリー(ドリーム)で、その後の生活は(ある意味)努力で手に入れたものだと考えているのかもしれない。
ここまで考えて、はたと気が付きました。
これは、ヘルタースケルターの主人公「りりこ」そのものだと。大柄で外見が不自由な風俗嬢が努力と覚悟で成り上がって破滅していく話。20世紀のりりこは整形手術で世間を欺いたけれど、21世のりりこはインターネット(ブログやネットオークションや婚活サイト)を武器にドリームを作り上げた。
彼女のタフさ、憧れ(20世紀では「美」、21世紀では「セレブ」)への執着、しぶとさ、実在感の薄さ、すべてがりりこ的。こうなったら、目玉ひとつ残して脱走して、南米でクレイジーなショーをやってほしいとまで思ってしまうのです。
ああ、木嶋佳苗というヘルタースケルター。
ここまで考えて「わたしって、するどいかもー」と悦にいっていたのですが、インターネットの皆さんはもっと早くから、そしてもっと緻密に情報を集めていたのですね。興味のある方は「力士工(木嶋容疑者の下の名前「カナエ」をもじったもの)」で検索してみてください。ウソかマコトか分からないけれど、さまざまな情報が出てきますよ。
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