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» 2012年12月11日 08時00分 公開

田中克己の「ニッポンのIT企業」:OSSを活用した受託開発に注力するゼンク (2/2)

[田中克己(IT産業ウオッチャー),ITmedia]
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OSSで知名度を上げたい

 ゼンクは「OSSをうまく使って、知名度を上げる」(増田氏)ために、勤怠管理やWeb会議、プロジェクト管理、情報共有など国内外のIT企業が開発したOSSベースの業務アプリケーションも扱い始めた。フィールドワーク管理ソフトを自社開発し、メニューに加えて、これらOSSを連携した案件獲得に力も注いでいる。例えば、SugarCRMを導入したユーザー企業に、Web会議システムの利用を薦める。こうした複数のOSSを組み合わせて、1つのプロダクトに仕立てる。いわば、OSSのセット商品を用意する計画もある。

 ターゲットは主に中堅・中小企業になるが、有効な営業方法がないようだ。目下のところ、OSSコンソーシアムのメンバー会社からの紹介や、口コミで広げている程度。そこで着目したのが、「OSSはソースコードが公開されているので、作り込みがしやすい」(増田氏)とし、OSSの採用に前向きなIT部門へのアプローチだ。「ITベンダーにロックインされたくない」「大手ITベンダーのライセンス商品は高価過ぎる」などと考えているIT部門にアプローチする。そんなIT部門は一般的に新技術の活用に熱心で、自社開発する力を備えている。

 一方で、「フリーソフトなので、誰もサポートしてくれない」「中身が分からないし、品質に不安だ」といったOSS導入を懸念するユーザーがいる。ゼンクは、そうした不安を取り除く提案をする。半面、「OSSは安いものと思われると危険」(増田氏)とも話す。OSSもカスタマイズが発生すれば費用がかさむ。既存のライセンス商品の方が業務にフィットし、安価に構築できることもある。OSSとライセンス商品を比較し、ユーザーの業務にマッチする方法を薦める。

 増田氏は「大手IT企業の下請けとして、待つだけの経営では成長は難しい。無償版を開発し、PRをしながら会社の知名度を上げていく」作戦を展開するという。


一期一会

 増田氏は「OSSベースの受託開発を増やす」と意気込む。今のところ、総売り上げの10%程度だが、これから増収する分の多くはOSS関連になると予想している。「このOSSを使って、カスタマイズしてほしい」といった商談は確実に増えており、SugarCRMの問い合わせも月に1、2件あるという。

 もちろん、現状の経営の柱は「人月、つまりSES(システムエンジニアリングサービス)的な開発作業が最も多い」(増田氏)。大手IT企業からの請負もある。こうした売り上げが同社のベースになっている。PCのセットアップの売り上げもある。ただし、企業の統合などで請け負う、数百台から数千台の単位で再設定作業はスポット案件である。

 だからこそ、OSSを活用した受託開発で経営の安定化を図りたいのだろう。競合する中小IT企業が有力ITベンダーの開発環境を利用するならば、ゼンクはOSSで違いを鮮明に出せる。「技術者にとって、OSSによる開発は楽しくなる」(増田氏)。しかも、OSSを熟知すればするほど、国内外の技術者とシステム開発に関する議論をしたり、情報交換をしたりできる。技術者自身のキャリアパスにもなる。もちろん、そのためには技術者がスキルを磨き上げていく努力が必要になる。

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