BIからBAへの発展促す、SASが2013年の事業戦略を発表

ビッグデータ分析ツール「SAS Visual Analytics」の最新バージョンもリリースした。

» 2013年02月19日 16時08分 公開
[國谷武史,ITmedia]
吉田仁志社長

 SAS Institute Japanは2月19日、2013年の事業戦略を発表するとともに、ビッグデータ分析ツールの最新版となる「SAS Visual Analytics 6.1」の提供を開始した。会見した吉田仁志社長は、「ビジネスインテリジェンス(BI)からビジネスアナリティクス(BA)へのシフトを進めたい」と表明している。

 会見の冒頭、吉田氏は2012年の事業動向を報告。SAS全体での2012年業績は、売上高が過去最高の28億7000万ドル(前年比5.4%増)となり、37年連続で増収増益となった。2012年は「ビッグデータ元年となり、データ分析の結果を価値につなげる『アナリティクス』が大いに注目された」(吉田氏)とした。

 2013年の事業戦略では(1)BIからBAにシフトさせるSAS Visual Analytics、(2)SAS High-Performance Analyticsの業種・業務展開、(3)アナリティクスコンサルティングの拡充、(4)データサイエンティスト育成に向けた大学との連携、(5)パートナーとの協業強化――を掲げる。

 吉田氏は、「BIは過去を振り返るためのもの。過去の知見からBAによって将来を予見し、そのためのアクションを起こさなければならない」と述べ、インメモリ技術を利用した高速分析が特徴のSAS High-Performance Analyticsの適用先の拡大に注力していくと説明した。業界別や業種別の具体的な活用シーンとしては、例えば、金融業界向けにマネーロンダリング(資金洗浄)などの不正行為を検知するソリューションとして、同製品を提案していくという。

 一方で、まだBIを十分に活用できていないという企業も多く、こうした企業にはSAS Visual Analyticsを提案して、BAへの発展的な利用を支援していくという。SAS Visual Analyticsは、ドラッグ&ドロップの簡単な操作でビッグデータの分析やグラフィカルレポートの作成ができるツール。2012年7月に発売して以降、世界で約200件の導入があり、2013年は2000件以上の導入を見込む。

SAS Visual AnalyticsのGUI

 同製品の最新版では実行基盤に、従来のブレードサーバやEMC GreenPlum、Teradataのアプライアンスに加えてPCサーバなどを追加。小規模な組織や少数ユーザーで利用できるようにしており、レポートの表現機能にツリーマップ、アナリティクスに時系列予測や重回帰分析などを加えている。

 会見にはSAS Visual Analyticsの協業パートナーとして富士通、日本ヒューレット・パッカード、NECが登壇。各社ではサーバ製品とSAS Visual Analyticsを組み合わせたソリューションや、BAを支援するコンサルティングサービスを展開していく。

 企業や組織でアナリティクスを手掛ける「データサイエンティスト」の育成については、2012年12月に発表した産学連携の取り組みを推進するとともに、人材育成やデータ分析の環境整備を支援するコンサルタントやパートナー企業の認定コンサルタントの拡充も図る。

 吉田氏は、「日本企業にイノベーションが求められている今、アナリティクスがその原動力になるよう支援していきたい」と話している。

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