スマートデバイスの先進導入企業はいかに活用しているのか、攻防のヒントを探るITmedia エンタープライズ ソリューションセミナー レポート(2/2 ページ)

» 2013年04月12日 12時00分 公開
[ITmedia]
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モバイル活用を支える安全の基盤を

トレンドマイクロ エンタープライズマーケティング部 マネージャ 坂本健太郎氏

 続くセッションでは、トレンドマイクロ エンタープライズマーケティング部の坂本健太郎氏が「スマートデバイスを安全に使うために」と題して、モバイル活用におけるセキュリティ対策を紹介した。利便性を下げずに、いかに安全を確保するかが重要だという。

 同氏によれば、モバイルの利用拡大は、IT部門が管理すべき範囲とリスクを広げることにもつながる。特に私物端末を会社の内外で使う、あるいは会社支給の端末を社外で使う場合に、マルウェア感染や盗難・紛失による不正使用、情報漏えいなどの危険性が高まる。

 携帯端末はPCに比べて所在を把握しにくいことから、まずはツールを使って可視化する範囲や対策を強制する部分を検討する。また、ルールやポリシーは端末の取り扱いやネットワーク接続などの観点で最低限取り入れるべき項目を決める。最初から全てを決めず、利用状況をみながら、追加や変更を判断していくのがポイントだ。

 同社ではマルチOSに対応したモバイル端末の管理やセキュリティ対策、集中管理のための製品を提供しており、これら製品を活用して利便性と安全性を両立したモバイル活用を実践してほしいとしている。

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スマートデバイス導入前に絶対に押さえておくべきセキュリティ対策のポイント

会社貸与、個人端末の業務利用(BYOD)に関わらず、スマートデバイスの企業導入を考える上で押さえておくべきセキュリティのポイントを解説。昨今の脅威の傾向を知り、IT部門が検討すべき端末管理とセキュリティ対策を示す。

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シャドーITに備えよ

ソリトンシステムズ プロダクトマーケティング部 製品担当 竹谷修平氏

 ソリトンシステムズのセッション「マルチデバイス環境を前提とした認証セキュリティ」ではプロダクトマーケティング部の竹谷修平氏が、「シャドーIT」と呼ばれるリスクとその対策を解説した。

「シャドーIT」とは、会社が許可していない情報端末を業務利用することをいう。不正なデータの持ち出しなどの危険があり、情報セキュリティの観点では排除すべき対象として、例えば、私物のPCやUSBメモリなどの利用を禁止する企業は多い。だが、スマートフォンやタブレット端末による勝手なBYODが広がり始め、この危険性を高めているという。

 竹谷氏は、企業のモバイル活用ではまず基盤の整備から始まり、この部分でシャドーITを含むセキュリティリスクへの対応を呼びかける。正規の端末やユーザーを識別して不正利用を禁止できるようにする。通常のIDとパスワードによる認証ではユーザーがこれを使ってシャドーITを行ってしまう可能性があり、竹谷氏はデジタル証明書を用いた端末識別による認証を推奨する。

 同社の認証アプライアンスは、証明書の管理と認証処理が行え、オプションでワンタイムパスワードにも対応できるため、手間を掛けることなく強固な認証システムを構築できるという。

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マルチデバイス環境を前提とした認証セキュリティ、NetAttest EPSで簡単構築・簡単運用

IT部門の目の届かないところでの業務データの利用や、未許可端末を利用し業務することを指す「シャドーIT」。この「シャドーIT」は企業にとって情報漏洩につながりかねない脅威。ここではその対策を含め、スマートデバイスを安全に利活用するための必須条件を紹介する。

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ツール導入だけでなくプロセスも

ソフトブレーン 取締役 木下鉄平氏

 ソフトブレーンのセッション「スマートデバイスで、営業プロセスを変える」に登壇した同社取締役の木下鉄平氏は、スマートデバイスとクラウド型SFAを利用して商談の成約率を20%向上させたという企業の事例を交え、営業シーンでの活用ポイントを紹介した。

 この企業ではSFAの導入で営業プロセスやマネジメントを変革した。営業担当者は、顧客訪問後すぐにスマートデバイスから上司に報告し、上司も即対応することを義務化。また、営業会議で個々の案件を討議することも禁止した。

 SFAでは文字入力せず、報告や指示の内容をメニューから選択する仕組みにし、込み入った相談などはその場で電話会議を行う。SFA導入から半年で、商談期間は15%短縮され、成約率は20%向上したという。

 この事例では「目的」を明確にしてツールを活用し、関係者が主体的に変革に取り組んだ点が成功につながった。木下氏はここまでの取り組みを踏まえ、例えば、成約率をさらに高めるポイントが営業プロセスのどこにあるかなどを、より詳しく分析していくことで、中長期的な視点から営業プロセスをさらに変革させていく取り組みが大切だとアドバイスしている。

安全なファイル共有が決め手に

日本ワムネット 営業部 部長 井澤浩一氏

 日本ワムネットのセッション「モバイルワーキング時代におけるオンラインストレージ活用術」では同社営業部の井澤浩一氏が、業務で頻繁に発生するファイルの送受信や共有を安全に行う方法を解説した。

 ファイルの送受信や共有では、例えば、USBメモリでの受け渡しには情報漏えいの危険性があり、メールへの添付ではサイズに制限がある。自前で共有サーバを構築してもコストや運用面で手間がかかり、無償のオンラインサービスでは企業としての管理が難しい。こうした課題を幾つも抱えているのが現状だろう。スマートデバイスで安易にファイル共有を行うとすれば、セキュリティリスクがより高まる恐れもある。

 そこで井澤氏が推奨するのは、企業向けに特化したオンラインストレージサービスと専用アプリの組み合わせである。これにより、スマートデバイスの利便性を損なうことなく、例えば、ファイルの利用方法を制御したり、利用者や履歴といったログ情報による管理も可能になる。

 同社の顧客事例では、ある製薬企業が国内外の拠点間での情報共有にサービスを活用。機密情報の保護やその管理体制を確立でき、多言語対応や操作性を考慮したユーザーインタフェースで使い勝手を高めているという。

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