NetSuiteは単に利用形態としての「クラウド」だけではなく、ERPの将来像も示しているかのようだ。同社をCEOとして率いるザック・ネルソン氏は、「ERPはもっと顧客に向いた存在になるべきだ」と話す。
昨年のSuiteWorldでは、「Commerce as a Service」(CaaS)構想と中核サービスである「NetSuite SuiteCommerce」プラットフォームを発表、クラウドによる変革の領域をB2CやB2Bにも拡大しようとしている。同社の主要顧客である中小規模の事業者は、その多くが既に新たなチャネルとしてe-コマースに取り組んでいるが、店舗、コールセンター、オンラインを問わず、一貫した整合性のある体験が得られる「オムニチャネル」の構築が求められている。
Qualcommに続いてネルソン氏がステージに招き上げたのは、カリフォルニア州サンフランシスコに本拠を置く高級キッチン用品店、Williams-Sonomaだ。1956年、フランスから輸入した食品とキッチン用品を扱う小さなショップとしてスタートした同社は、現在では8つの自社ブランドを抱え、フランチャイズなどで世界75カ国に580以上の店舗を展開、年商は40億ドルに達する。
この5月2日には、グローバル戦略強化の一貫として、シドニーに4つのブランドの直営店をオープン、併せてブランドごとのオンラインショップもスタートさせてばかりだ。
「NetSuite SuiteCommerceの機能やテクノロジーを評価したほか、短期間で導入できる迅速さも決め手となった」と話すのは、Williams-Sonomaのジョン・ストレインCIOだ。
「Williams-Sonomaでは、4つのブランドの店舗とe-コマースサイトをすべて3カ月で立ち上げられた。こんなことはNetSuite以外にはできない」とNetSuiteのネルソンCEOも胸を張る。
市場ではしばしばCRMが単体として語られるが、それではチャネルごとに一貫した整合性のある顧客体験を提供するのは難しい。NetSuiteは顧客レコードにひも付けてすべての情報を一元管理する仕組みを採用しており、例えば、オンラインで商品をカートに入れた瞬間からすべてのチャネルにまたがって一元的に顧客を把握することができるという。もちろん、豪州に導入されたNetSuiteがWilliams-Sonoma本社の既存システムと統合されているのは言うまでもない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.