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» 2013年05月15日 13時00分 公開

クラウドERPの時代、起業家精神あふれる企業が次々と踏み出すSuiteWorld 2013 Report(3/3 ページ)

[浅井英二,ITmedia]
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複雑な製造業、満を持してソリューションを披露

 NetSuiteはSaaSという形態を取るがゆえに、プロセスが複雑な業界ではこれまであまり使われてこなかった。その筆頭が製造業だろう。ネルソンCEOも「5年前なら製造業ソリューションはやらないと答えただろう」と話す。

 しかし、同社もこの巨大な市場をただ指をくわえて見ていただけではなかった。簡単な組み立て作業を行う販売業者向けのソリューションや製造自体は海外のパートナーに委託するメーカー向けのソリューションなど、ステップを踏みながら機能強化を図り、今年のSuiteWorldでのお披露目に漕ぎ着けた。

 次世代の製造業向けNetSuiteでは、これまでの製造業ソリューションに対して、さらに有効在庫数、標準原価、仕掛品、工程データなどの各種機能が追加されたほか、Autodeskとのパートナーシップによって、設計から納品までエンドツーエンドの業務を柔軟なクラウド上で行うことができるようになるという。

 ステージでは、「Auto Suite Grills」という架空のアウトドア製品メーカーが、NetSuiteとAutodeskのクラウドソリューションである3D CADの「Fusion 360」や「PLM 360」を組み合わせ、効率良く短期間で新製品を開発するデモも行われた。

 新製品の開発は、現行のガスグリル製品に対する顧客のフィードバックから始まる。e-コマースサイトに「格好悪いし、重い」というコメントが書き込まれ、毎月の売り上げも鈍ってきたことから、設計チームが幾つか候補となるデザインをつくり、Webサイトで人気投票を実施して絞り込む。デジタルプロトタイピングを経て、BOM(部品表)を作成、原価シミュレーションを行い、調達先ともやり取りしながら作業指示書を作成していく。こうした製造業の複雑なプロセスすべてをクラウドでこなせる時代がもうすぐそこまで来ているのには少なからず驚かされる。

 ちなみにNetSuiteは、特に製造業のようにプロセスが複雑多岐にわたる業界では、パートナーが開発するソリューションとの連携が欠かせないとも考えている。これまで7200のデベロッパーを組織化し、2万3000以上のアプリケーション「SuiteApps」が開発・登録されてきたが、やや玉石混交の嫌いがあり、その認定制度導入に踏み切ることにした。現在までにAutodeskの「Fusion 360」や「PLM 360」をはじめ、厳選された約40のSuiteAppsが「Built for NetSuite」のロゴ認定を受けている。

Memjetのハンベリック ITディレクター

 新しいNetSuite製造業ソリューションの1号ユーザーとしてオープニングのキーノートで紹介されたのは、サンディエゴに本社を置くMemjetだ。極めて高速なインクジェット印刷技術を実用化した同社は、成熟気味だったプリントヘッド市場に風穴を開けた存在として知られている。グローバルな分業体制が敷かれ、技術開発はシドニーの親会社が行い、サンディエゴで設計したプリンタヘッドをアジア企業に製造委託し、それをプリンタメーカーに納入している。

 「われわれはERPやPLMに関するテクノロジーの会社ではない。情報システム部門も小さな組織だし、何より本業であるインクジェット印刷技術にフォーカスしたかった」とNetSuite採用の理由を話すのは、MemjetのITディレクター、マーティン・ハンベリック氏だ。こうした国際分業には、組織間をつなぐネットワークの技術やノウハウも欠かせないが、クラウドなら大きく手間を省ける。

 NetSuiteのネルソンCEOは、「われわれのミッションは、規模の大小ではなく、起業家精神が旺盛でイノベーションによってゲームを変えようとしている企業をクラウドによって成功に導くことだ」と話す。

 次から次へと名乗りを上げるNetSuiteの顧客には、日本企業も学ぶべきことがまだまだありそうだ。

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