ビッグデータ時代のデータ連携基盤を目指す、Informaticaが新施策を発表

米Informaticaが、ビッグデータ活用での円滑なデータ連携を実現するとした新ブランド「Vibe」や新製品などを発表した。

» 2013年06月05日 14時00分 公開
[ITmedia]

 データインテグレーションソフトウェア大手のInformaticaは米国時間の6月4日、同日から開催中の年次カンファレンス「Informatica World 2013」で、ビッグデータ活用での円滑なデータ連携を実現するとした新ブランド「Vibe」および新製品や機能強化した製品などを多数発表した。企業でのビッグデータ活用が世界的に注目を集める中、円滑なデータ連携を実現するプラットフォームとしての存在の確立を目指す。

 「Vibe」は、同社のデータ連携・統合プラットフォームの中核技術の新ブランド。「仮想データマシン」というデータ変換処理のロジックを定義するためのライブラリを通じ、データの連携に必要となる作業でユーザーの手間を掛けることなく、シームレスなデータの連携を実現するという。

 同社によれば、ビッグデータの活用では多種多様な大容量のデータを集約し、アナリティクスなどに利用できるようにデータを最適化する必要がある。だが現状は、そのために必要なツールあるいは製品などによって最適化のための方法が異なり、ユーザーの負担となっている。

 新たに発表した仮想データマシンは、こうした課題を解決するために、トランスフォーメーション、オプティマイザ、エグゼキュータ、コネクタの4つのモジュールで構成されている。トランスフォーメーションではクレンジングやマスキングいった処理を、コネクタではさまざまなデータとの接続処理を担う。

 同社によると、仮想データマシンは、Javaのバーチャルマシンのように、あらゆる機器やシステムに組み込むことができるといい、同社ではVibeによるソリューションを実現するためのエコシステムの形成にも着手すると表明した。直近では仮想データマシンのAPIや開発者用キット(SDK)の提供を予定し、将来的に組み込み機器への実装を考慮してフットプリントの軽量化を進めていく。

 これによって、例えば、大量のセンサ機器などからデータを集約して活用するM2M(Machine to Machine)などの分野では機器とシステムとの間でスムーズかつ高速処理に優れたデータ連携基盤を構築できるようになる。また、オンプレミスやクラウドなどさまざま環境で運用されているエンタープライズアプリケーションの異なったデータを統合する基盤も実現できるという。

 製品ではデータ連携・統合の「PowerCenter」の新製品となる「PowerCenter Express」、データ活用基盤製品群の最新バージョンとなる「Informatica 9.6」を発表した。

 PowerCenter Expressは、部門単位や中小企業などでの利用に機能を最適化したもので、有償版の「Professional」、個人向け無償版の「Personal」の2つのエディションを提供する。上述のVibeの技術を活用してPowerCenter Expressで利用しているデータ連携処理などのノウハウをPowerCenter本体に取り込むといった、スムーズな製品連携を実現する。

 PowerCenterでは「Data Integration Hub」というデータ連携のためのエンジンを強化した。従来はデータの出力元とそのデータの提供先のマッピングをユーザー自身が設定しなければならなかったが、これをData Integration Hubが行うことで、ユーザーの負荷を軽減する。

 また、Informatica 9.6では多様なデータベース環境への対応や、運用における拡張性の向上、ビジネスプロセスマネジメントとの統合化などを図っており、ビッグデータ活用時代のデータ活用基盤としての機能を多数強化した。

 2012年に買収を発表した独Heiler Softwareについても触れ、Heilerのプロダクトインフォメーション管理製品とInformaticaのマスターデータ管理製品との連携を図ると説明した。これにより例えば、eコマースサイトの運営企業などではスマートフォンやソーシャルメディアといった多数の顧客接点に対応できる商品情報管理の基盤を利用できるようになるとしている。

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