企業が懸念するAndroidセキュリティに一筋の光となるか、ドコモと組む米BoxTone

NTTドコモが米BoxToneと提携し、企業向けモバイル管理サービスの拡張を図った。マルチデバイス対応のMDMやMAMなどを手掛けるBoxToneのスナイダーCEOは、「Mobility run betterを目指す」と話す。

» 2013年06月28日 15時46分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 NTTドコモは7月1日から、法人向け携帯端末管理サービス「ビジネスmoperaあんしんマネージャー」のセキュリティ機能を7月1日から拡充すると発表した。このサービス強化では米BoxToneと提携している。

 BoxToneは米国ワシントンD.C.に本拠を置く企業で、MDM(モバイル端末管理)やMAM(モバイルアプリ管理)、運用管理サポートなどのソフトウェア開発を手掛ける。同社のアラン・スナイダーCEOは、「大企業や規制産業の企業での安全なモバイル活用を実現するのが当社の目的だ。パートナーは通信事業者や端末メーカー、サービスプロバイダーであり、彼らを通じて組み込み可能なセキュリティを提供する」と話す。

NTTドコモとBoxToneの協業内容

 顧客企業は米国政府機関や金融機関やエネルギー産業、メーカーなど。パートナーの通信事業者はAT&TやVerizon、BT、KDDI、端末関連メーカーではGoogleやApple、Samsung、ソニー、LG、HTC、Microsoft、BlackBerryなどと協業している。大手ITベンダーも同社からソフトウェアのOEMを受けてMDMサービスなどを提供している。

 マーケティング最高責任者のブライアン・リード氏によると、同社のMDMやMAMはiOS、Android、Windows Phone、BlackBerryなどをサポートするが、通信事業者や端末メーカーとの協業から、管理用モジュールをOSイメージに組み込んだ形で提供できる点に特徴があるという。

 「パートナーは当社のソフトウェアを使ってクラウドベースの管理サービスを提供する。端末側では後から管理モジュールをインストールすることもできるし、出荷段階で組み込むことも可能だ。これにより、エンドユーザーの企業が管理モジュールを端末に展開する手間を省くことができる」(リード氏)

 MDMやMAMの機能としては、アプリや端末の機能の利用制限、リモートからのデータの消去や端末の初期化・ロック操作、ポリシーの設定変更、データ暗号化などを備える。BYODのような個人所有端末を業務利用する場合でも、個人のデータ領域と業務でのデータ領域を完全に分離して、業務のデータ領域やアプリだけを管理できるとしている。

 企業のモバイル導入でのAndroidは、不正アプリの氾濫ぶりやOSレベルのセキュリティ機能が少ないなどの理由で敬遠されてきた。スナイダーCEO氏は、「米国の当社の顧客企業は大半がiOSを利用している。AndroidでOSに近い場所にセキュリティ機能を実装できるようになり、2014年以降は特に日本で加速度的にユーザーが増えるだろう」と話す。

BoxToneのアラン・スナイダーCEO(左)と常山宏彰氏

 5月末に設立された日本法人ジェネラル・マネージャーの常山宏彰氏は、「3人体制で発足し、1年後には10〜15人体制に増やす計画だ。企業のAndroidに対するセキュリティの懸念を払しょくしたい」と述べている。

 ビジネスmoperaあんしんマネージャーで強化される機能は、ドコモの2012年冬モデル以降のスマートフォンやタブレットが対象(一部除く)。Samsung、ソニー、シャープ、富士通、LG、パナソニック、NEC、Huaweiなどの端末が対応している。

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