マイクロソフトと横浜市が協業強化 オープンデータで経済効果を狙う

日本マイクロソフトと横浜市、横浜市教育委員会は7月29日、横浜市役所で会見を開き、人材育成などの分野で連携を強化すると発表した。

» 2013年07月30日 08時00分 公開
[伏見学,ITmedia]

 日本マイクロソフトと横浜市、横浜市教育委員会は7月29日、教育や就業支援などの分野で連携を強化すると発表した。

 3者は2010年6月、横浜サイエンスフロンティア高校(YSFH)における人材育成ならびにICTを活用した先進的な教育環境作りのための連携協定を締結。これまでの実績を基にこのたび連携を拡大する。具体的には、(1)YSFHで実施する人材育成支援の取り組みをほかの市立高校に展開、(2)ICT活用による女性の多様な働き方を支援、(3)オープンデータ推進による市内経済の活性化、を図る。

右から日本マイクロソフト・樋口泰行社長、横浜市・林文子市長、横浜市教育委員会・岡田優子教育長 右から日本マイクロソフト・樋口泰行社長、横浜市・林文子市長、横浜市教育委員会・岡田優子教育長

 (1)については、8000人を超えるすべての市立高校の生徒を対象に、ソフトウェア開発製品などの無償プログラム「Microsoft DreamSpark」を提供するほか、OS「Windows 8」向けのアプリケーション開発ワークショップやプログラミング講座を実施する。

 モデル校となっているYSFHでは、日本マイクロソフトの加治佐俊一最高技術責任者(CTO)が講義するなどによって、学習に対する生徒のモチベーション向上につながっているという。林文子横浜市長は、「市の成長に人材育成は欠かせないと考えている。こうした取り組みをほかの市立高校にも波及させることで、教育に大きく貢献できるはずだ」と力を込める。

 (2)に関しては、女性起業家を育成するためのセミナー開催、就労が困難な女性に対してICTトレーニングを施すことによる就労支援、横浜市のテレワーク施策に対するマイクロソフトのノウハウ提供などを行う。

 特に重点的に支援していくのは、果敢に挑戦する女性起業家、子育てなどの理由からフリーランスで働くことを希望する女性、困難を抱えたまま働くことのできない女性である。「横浜市は『中期4か年計画(2010年〜2013年)』で“女性による市民力アップ戦略”を掲げている。労働人口が減少する中、女性の活躍の場がより重要になるため、市としても働きやすい環境を整備していきたい」と林市長は抱負を述べる。

 (3)では、日本マイクロソフトの統合開発環境やクラウド環境などを無償で提供するプログラム「Microsoft BizSpark」を横浜市内の企業に提供することで、オープンデータを活用したアプリケーションを開発するための環境構築を支援するほか、アイデアソンやハッカソンといったオープンデータ利活用を促進するイベント開催を支援する。加えて、オープンデータに関する海外の先進的な事例やノウハウを横浜市に提供する。

 オープンデータとは、企業や団体、個人などが自由に利用できるデータのことで、特に公共機関が保有するデータの有効活用が注目されている。実際、横浜市でも「横浜オープンデータポータル」というカタログサイトを今年2月に立ち上げた。この基盤にはクラウドサービス「Windows Azure」が利用されているという。

 日本マイクロソフトの樋口泰行社長は、「オープンデータを世界中に流通するプラットフォームをマイクロソフトは提供している。グローバルで培ったノウハウによって横浜市を支援していく」と意気込む。林市長も「オープンデータを活用することによって、政策課題の解決や新ビジネスの創出などを大いに期待したい」と話した。

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