米テキサス大学の研究チームが、豪華ヨットのGPSシステムを乗っ取って、ヨットの針路を変えさせることに成功したと発表した。
この実験は、同大航空工学・機械工学部のトッド・ハンフリーズ准教授のチームが行った。研究チームは個人所有の大型ヨット(全長65メートル)に乗り込んで、モナコからギリシャのロドス島を目指して地中海を航行。イタリア沿岸約50キロの地点で実験を開始した。
まず甲板からGPSスプーフィング装置を操作して、ヨットのGPSアンテナ2基に向けて偽のGPS信号を送信。徐々に正規のGPS信号を圧倒し、ヨットのナビゲーションシステムのコントロールを握った。
ヨットのGPS装置では偽の信号と正規の信号との見分けがつかず、攻撃を受けていることは検知できなかったという。
続いてヨットの針路をずらす操作を行い、予定していた航路を外れて航行を続けさせた。それにもかかわらず、ヨットの管制室の画面に映し出される海図では、予定通りの針路を進んでいることになっていた。
研究チームによれば、今回の実験は、例えば自動操縦システムを搭載した航空機などに対しても応用できるといい、運輸業界がこうした攻撃に対して脆弱である実態が浮き彫りになったと指摘している。
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