ヒューマンエラーを起こしにくい「配色評価方式」を開発、NEC

NECは、ヒューマンエラーを起こしにくいユーザーインタフェースの設計に有効な「配色評価方式」を開発した。

» 2013年09月10日 18時16分 公開
[ITmedia]

 NECは9月10日、ヒューマンエラーを起こしにくいユーザーインタフェースの設計に有効な「配色評価方式」を開発したことを発表した。同方式は、画面の配色が利用者にどれだけ負荷を与えているかを初めて数値化したもの。算出した数値を基に画面を最適化することで、ヒューマンエラーの要因となる負荷を抑制することを実証した。

 システム操作での見落としや見間違いなどヒューマンエラーが発生する主な要因は、システム画面の複雑さや配色の不調和による情報の探しにくさ、長時間のシステム利用に伴う疲労の蓄積が挙げられるという。重要な情報が探しにくい場合、利用者は画面のどこを見て、何を行えばよいか判断することが困難になり、ミスを起こしやすくなることが、これまでの研究で科学的に解明されているという。ヒューマンエラーを低減するには、システム画面上の「重要な情報を認識しやすくすること」と、長時間の作業環境においても「疲れにくい」画面構成にすることが重要になるとされている。

 NECは、「重要な情報が認識しやすく」かつ「目が疲れにくい」ユーザーインタフェースを実現するために、画面設計における重要な要素である配色に着目したという。開発した配色評価方式は、システム画面の配色の「調和の度合」「重要な情報の目立ちやすさ」「目の疲れにくさ」を独自の手法で数値化し、画面の配色が利用者に与える負荷を定量的に示した上で、算出した数値から画面の配色を最適化する。

「配色評価方式」の適用前(左)と適用後

 最適化を行う際は、画面全体の配色の「調和」を取った上で、「重要な情報の目立ちやすさ」を高めることによって、重要な情報をより素早く確実に把握できるようにする。さらに、隣接する配色の組み合わせを視覚に刺激の少ない「目に優しい」ものとすることで、疲労への影響を最小限に抑制するという。

 開発した技術の特徴は、(1)これまで人の感覚に頼って設計を行っていた画面配色の「調和」「重要な情報の目立ちやすさ」「目の疲れにくさ」を、NECが製品開発の中で培ってきた知見を基に策定した独自の手法で数値化し、画面の配色が利用者にどれだけ負荷を与えているかをグラフで見える化、(2)算出した数値を元に画面を最適化する手法を開発、負荷を抑制する画面を実現――の2点。

 NECは、配色評価方式をわずかな操作ミスも許されない医療システムや航空管制システムなどに適用し、ヒューマンエラーを起こしにくいシステム開発に役立てていくとしている。

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