主要ベンダー13社のITサービス売上高、「プラス成長かつ低成長化」に

IDC Japanは、2013年3月期の国内ITサービス市場におけるベンダー競合分析結果を発表した。

» 2013年09月12日 17時41分 公開
[ITmedia]

 IDC Japanは9月12日、国内ITサービス市場におけるベンダー競合分析結果を発表した。主要ベンダー13社のうち10社が2013年3月期にプラス成長を遂げ、業績回復の傾向が鮮明となった。その一方で成長率が10%を超えるベンダーはなく、市場の低成長化を反映したものと同社ではみている。

 主要ベンダーのITサービス売上高(IDC推定値)は、売上高が1000億円を超えた14社のうち、2012年10月の経営統合で発足したために前年度比較ができないSCSKを除く13社を対象としている。そのうち10社が前年度比でプラス成長となった。一方で2桁成長のベンダーはみられず、5%を超えたベンダーも野村総合研究所、新日鉄住金ソリューションズ、大塚商会の3社のみとなっている。野村総合研究所が伊藤忠テクノソリューションズを抜いて7位に上昇した以外は、2012年3月期から順位に変動がみられず、「プラス成長かつ低成長化」が進む中で順位の固定化が進行した。

 システムインテグレーションやITコンサルティングなどの案件ごとの契約によるITサービスを含むプロジェクトベースでは、老朽化したシステムの刷新やITインフラの構築といった案件がベンダーの業績を支えている。ITアウトソーシングでは、BCP/DR需要を背景としたデータセンターアウトソーシングの利用拡大が昨年から継続したほか、包括的なITアウトソーシングの新たな顧客拡大も一部のベンダーでみられたという。保守サービスを中心とするサポート&トレーニングでは、マイナス成長のベンダー数がプラス成長のベンダー数を上回った。

 産業分野別にみると、分析対象とした金融、製造、流通、通信/メディア、政府/公共、その他産業の6つの分野のうち、大手顧客による投資抑制の影響があった金融業向けを除く5分野でプラス成長のベンダー数がマイナス成長のベンダーを上回った。

 主要ベンダーは、大手顧客におけるシステム統合案件や老朽化したシステムの刷新など、既存のビジネス領域における目前の案件の受注や、そのデリバリー効率化に向けた取り組みと、ビッグデータやクラウドなどの新たな技術/概念を軸に、長期的ビジョンに基づく新たなビジネスの拡大を図る取り組みを並行して進めており、両者をうまくバランスさせることが求められているという。

 ITサービス マーケットアナリスト植村卓弥氏は、「ベンダーはユーザーに対し、既存ITの変革を進め、効率化したコストや人的資源を競争力強化のための新たなIT投資に回すことを提案している。こうした提案に説得力を持たせるためには、ベンダー自らの『変革』がこれまで以上に重要となる」とコメントしている。

国内ITサービス市場:主要ベンダーのセグメント別売上高、2013年3月期(出典:IDC Japan)

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