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» 2014年01月08日 08時00分 公開

【第2回】社内をプロジェクトに巻き込む絶妙のタイミングとは?VOYAGE流・企業文化構築プロジェクトの全貌(2/2 ページ)

[青柳智士(VOYAGE GROUP),ITmedia]
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時間をかけてグランドデザインを描く

 では、どのようにプロジェクトのグランドデザインを描き、いかにして社員を巻き込んでいったのでしょうか。

 まず、オフィスの要件定義となるグランドデザインは、社員に対しても、設計施工のパートナー選定においても重要な意味を持つため、しっかりと時間をかけるべきものだと考えています。この手間を惜しんではいけません。

 その中で私が取り組んだのは、オフィスを通してどのように経営理念を体現していくかを描くことでした。ここで最も重視したのは、単に今までの課題をなくすためにオフィスリニューアルをするのが目的ではなく、オフィスという空間にVOYAGE GROUPがどんな雰囲気の会社で何を大事にしているのかということを反映させていくことでした。経営理念が最もVOYAGE GROUPにとってコアになる部分であるのですが、それを言葉だけでなく、ビジュアルとしても表現していきたいと考えました。

 その雰囲気や思いを、外部パートナーとなる施工会社にも正しく伝える必要がありました。当然、彼らは当社の経営理念を十分に理解しているわけではありません。ですので、感覚的な指示では伝わるはずがありません。そこで、「イメージコラージュ」と呼ばれる技法を用いました。これによって、言語化されている経営理念のセンテンスに近いイメージ画像を集め、彼らに対して視覚的にメッセージを伝えていったのです。

 これは私がプロジェクトを進める上でも、日々のコミュニケーションにおいても大事にしていることですが、話し手側が何を伝えたかよりも、受けて側にどう伝わったというのが一番重要視しています。そのための方法は1つである必要はなく、直接話すことはもちろんのこと、テキスト、画像、映像などありとあらゆる手法を駆使して伝えていくべきだと考えています。

自分の意見を言える場を持つ

 こうしてグランドデザインを作り、プロジェクトを前進させていきました。次に、いかにしてほかの社員を巻き込んでいき、全社で取り組むプロジェクトに変えていったのでしょうか。

 まず、現状のオフィスの課題と要望を全社員にヒアリングする形でプロジェクトに対する認知を持ってもらうようにしました。限られた時間でのプロジェクトではあったのですが、「自分の意見を言える」というのは全社で取り組むプロジェクトに納得度を熟成する意味でも重要でした。

 執務エリアや会議室スペースなどの機能的な課題から、フロア間での交流といったコミュニケーションに関する課題、カッコいいものにしてほしい、来社した人にスゴイと言われたいなど、本当にありとあらゆる意見が出ました。ここで大切なのは、「意見は尊重するが、時間やコストの制約から全てを叶えられるわけではない」ということを事前に伝え、決まったアウトプットに対しても「なぜ、自分の意見が採用されなかったのか」ということを納得してもらうことです。

 ヒアリングで出てきた課題とその解決策に対して優先順位を付け、一つ一つまとめ上げていくのは本当に根気と熱量のいる作業でしたが、プロジェクトメンバーの女性とともに辛抱強く社員に説得ではなく納得してもらうことを心掛け進めていきました。

プロジェクトの仕事に幅を持たせる

 この段階まで進んだところで、さらにプロジェクトの推進力を高められるよう社内公募し、最終的に20人強のプロジェクトとしました。メンバーは、営業やディレクター、総務、エンジニアなど、各部署や子会社からさまざまな職種、年代が集まりました。

 プロジェクトメンバーにお願いしたことは、会議室の内装の案出しと、各部署での引っ越しの旗振りや諸連絡です。ここで重要なのは、プロジェクトメンバーには、連絡や旗振り役など比較的地味な仕事を割り振るだけではなく、内装のデザインなど面白さを感じてもらえるような仕事の両側面をしっかりと見せることです。これによって当事者意識が生まれ、彼らのモチベーションを高めることにつながります。

オフィス改革プロジェクトメンバーと。2010年の総会でベストプロジェクト賞を受賞しました オフィス改革プロジェクトメンバーと。2010年の総会でベストプロジェクト賞を受賞しました

 以上のように、プロジェクトの核となるグランドデザインを明確にし、決してぶれない強固なものにしておく。そして、プロジェクトがスタートし、ここだというタイミングで社内の他メンバーを巻き込んで、全社員が一丸となったプロジェクトとして推進していく。これこそが今回のプロジェクト成功の秘けつであり、逆にこうした取り組みをしなければ、短期間でプロジェクトを完遂することなど不可能だったと感じています。

 最終回となる次回は、企業文化構築において最も重要な採用を通したプロジェクトを取り上げます。

著者プロフィール

青柳智士

株式会社VOYAGE GROUP

取締役CCO スマートフォン事業兼人事統括

1979年、神奈川県出身。2002年武蔵野美術大学卒業後、インテリアメーカー、株式会社サイバーエージェントを経て、2008年株式会社ECナビ(現VOYAGE GROUP)へ入社。ショッピング事業本部長を務め、2009年より同社取締役CCO(Chief Culture Officer)に就任。現在は、社内外でのブランディング構築・強化をミッションとして、人事やコーポレートデザインを担当する一方、スマートフォン関連事業や無料シェアオフィス「BOAT」の担当役員も務める。


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