標的型攻撃の脅威の侵入を防ぐ製品群を投入へ、トレンドマイクロ

トレンドマイクロが2014年度の法人顧客向け事業の戦略を発表。標的型サイバー攻撃への対抗策を大幅に強化する。

» 2014年03月25日 15時04分 公開
[ITmedia]

 トレンドマイクロは3月25日、法人顧客向け事業に関する2014年度の事業方針を発表した。同社のエバ・チェン代表取締役兼CEOは、企業や組織における標的型サイバー攻撃のリスクが一段と高まる状況に対し、包括的なソリューションを提供していくと表明した。

エバ・チェンCEO

 同日の説明会でチェン氏は、「トレンドマイクロ スマートプロテクションプラットフォーム」という仕組みを紹介。これはサイバー攻撃などの脅威を防ぐライフサイクル(検知・分析・対処・保護)全体をカバーし、法人顧客から求められる対策のための基盤になるという。同社では2000年代後半から「スマートプロテクションネットワーク(SPN)」という脅威情報の蓄積・分析のための基盤構築を進め、今回発表の基盤はSPNの発展形にあたるものとみられる。

 2014年度は標的型サイバー攻撃対策ソリューションとして新製品および既存製品の大幅な機能強化を予定する。

 新製品では「Trend Micro Safe Mobile Workforce」を第2四半期にドイツ市場へ投入し、順次拡大を図る。同製品はサーバやデータセンター上にAndroid OSの仮想コンピュータ環境を構築し、iOSおよびAndroidの専用アプリから画面転送方式で仮想コンピュータ環境のアプリを利用するもの。

 チェン氏によれば、例えば、オンラインバンキング企業では利用者が安全にサービスを利用するための環境として提供する、あるいは社員向けに業務アプリケーションの安全な利用環境を提供するといった利用シーンが想定される。従来はモバイルアプリ単位で提供される場合が多いが、OSを含めた環境を仮想化することで、セキュリティレベルを高められるメリットがあるという。

 また、「Trend Micro Smart Sensor(日本語製品名は未定)」というエンドポイント向けのセキュリティ監視ソリューションも投入する。定義ファイルベースのウイルス対策ソフトと併用して、特に標的型サイバー攻撃に用いられることの多いカスタムマルウェアの検知対応などを強化する。

トレンドマイクロ スマートプロテクションプラットフォームのイメージと新製品などの展開

 既存製品の強化ではサーバ向けセキュリティ対策製品の「Deep Security」においてWebアプリケーション保護に特化した「Deep Security for Web Apps」や、サンドボックス解析などを利用する標的型サイバー攻撃対策の「Deep Discovery」に標的型メールや添付ファイルの解析機能を備えた製品を追加する。また、Deep Discoveryでは米HPの標的型サイバー攻撃対策ソリューションとの連携も強化されるという。

 セキュリティサービスとして、Deep SecurityをSaaS型でも提供するほか、複数の同社製品を一元監視できるクラウサービスやクラウド型UTMの投入も予定している。

大三川彰彦副社長

 国内事業に関しては大三川彰彦取締役副社長が、「クラウド&データセンター」「カスタムディフェンス(個別型対策ソリューション)」「ユーザー保護」の3つの観点から取り組むと説明。クラウド&データセンターではパートナーシップを強化し、第2四半期にもクラウドインテグレーターとのコンソーシアムを設立する。カスタムディフェンスではセキュリティ事故や事件に即時対応する企業内CSIRT(組織横断型体制)やSOC(セキュリティ運用施設)の構築支援サービスを本格展開するとした。

 ユーザー保護では2015年にMicrosoftのサポートが終了するWindows Server 2003の移行支援などに注力していくという。

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