社内ソーシャルツールが登場したばかりで期待が膨らんでいた時期とは違い、最近ではこうした課題も顕在化してきました。そのため、企業からは「効果は魅力的だが、自社での活用はやはり難しい」「仕方ないが、自社の企業文化にソーシャルは合わない」といった“落胆の声”も多く聞かれます。
もちろんツールを上手に使って成功している企業もあるのですが、IT系のニュース媒体や雑誌などで成功事例として取り上げられる企業が定番化してしまっていることも、この意見を支える要因になっているように感じます。
しかし、社内ソーシャルが多くの日本企業にとって非現実的なコンセプトかというと、そうとも言えません。サイボウズでは定期的に自社製品のユーザー会を実施していますが、参加企業の発表を聞くたびに、世の中には流通していない社内ソーシャルの成功事例がたくさんあることを実感します。
それらの事例では、いわゆる名の知れた“ソーシャル専用ツール”を使っていないためメディアにピックアップされていないケースが少なくありません。ただ、サイボウズ製品のユーザー企業をはじめ、組織や業務の壁を超えて有意義な情報交換を行っている企業は国内にも数多く存在するのです。
本連載では、日本企業で効果を出すのが難しいと思われている社内ソーシャルについて、本当の課題はどこにあるのか、効果を出すためのポイントは何なのか、私なりの具体案をご提示します。このテーマにご興味を持たれた方はぜひお付き合いください。
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伊佐政隆(いさ まさたか)
サイボウズ株式会社でエンタープライズグループウェア「サイボウズ ガルーン」、業務アプリクラウド「kintone」(キントーン)のプロダクトマネージャーとして大手企業への導入提案、製品企画、プロモーションを担当。企業が直面する「情報共有の課題と価値」について常に考え、経験を重ねている。
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