MEMS事業を「第4の成長の矢」に 生き残りを賭けるCATV会社の挑戦3カ月でシステムを構築(3/3 ページ)

» 2014年08月25日 08時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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放送・通信の優位性を発揮

 MEMSのビジネスにはCATV業界以外にも様々な業種からの参入が相次いでいる。磯山氏は、同社の基幹ビジネスである放送や通信と融合することで競争優位性を発揮したいと語る。

 例えば、MEMSやBEMS、HEMS(家庭向けエネルギー管理サービス)などの大きな特徴が電力使用の「見える化」だ。これらのサービスでは利用者がPCやスマートフォン、タブレット端末などを使って、自身の電力使用状況を確認することができる仕組みを提供する。

 TCNではこうした端末に加え、テレビでも電力使用の「見える化」できる仕組みを提供する予定だ。この仕組みでは日本IBMとJ.COTTが開発するIPセットボックス(IP-STB)を利用し、機密性の高い利用者情報のセキュリティを確保して、利用者が安心でかつ手軽にテレビ画面から使用電力量や料金などを確認できるようにしていくという。

 同社は今後3年間でエリア内の50棟のマンションにMEMSを導入したい考え。これは高圧一括受電に必要な設備を導入できる対象の540棟(50戸以上の建物)の約1割にあたる。エリア内には数千の集合住宅があるものの、都心という立地から大半は小規模戸数であり、文京区では平均で20戸程度だという。

 津滝氏によれば、この目標はあくまで通過点であり、電力供給サービス単体でも十分な収益が見込まれるが、「やはり本業である地域に密着したテレビ放送と通信、電話のサービスが重要です。電力との相乗効果によって付加価値の高いサービスを提供し、加入者を増やしていきたいと考えています」と話す。

 さらに、2016年には戸建住宅を含めた電力小売りが完全に自由化されることから、同社では戸建住宅向けの電力供給サービスの提供や、太陽光発電など新たな電力調達の仕組みも検討しているという。こうした部分で先行するMEMSのノウハウを存分に発揮したい考えだ。

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