クラウドとコンサル参入でさらに多角化し、No.1 IT企業を目指すシスコ平井社長が15年度の事業戦略を発表

シスコは2015年度の事業戦略を説明。クラウドやコンサルティング事業などに進出しさらなる多角化を目指すと発表した。

» 2014年10月02日 21時41分 公開
[大津心,ITmedia]

 シスコシステムズは10月2日、報道関係者向けに2015年度の事業戦略説明会を実施。同社 代表執行役社長 平井康文氏は、クラウドやIoE(Internet of Everything)、コンサルティングサービスに注力していくと宣言した。

新たにクラウド事業に参入

平井氏写真 シスコシステムズ 代表執行役員社長 平井康文氏

 2010年にシスコ社長に就任し、5年目に入った平井氏。5年目のビジョンには「Advance Japan」を揚げた。「この5年間でx86サーバー市場に参入するなど、さまざまな下準備をしてきた。今年はそれらを実行に移す年と位置付けている。サーバーは非常に好調で、2014年の4〜6月期、米国ではx86市場でシェア43%、ワールドワイドでも2位にまでくることができた」と戦略を説明した。

 同社が掲げる戦略は主に3つ。「Customer Partnerships」「Country Transformation」「Cisco Family」だ。

 Customer Partnershipsでは、データセンター内における同社ネットワーク機器の優位性を活かした展開をしていくほか、クラウドコンピューティング事業や統合ソフトウェアの提供などに力を入れていく。

 データセンターサービスでは、「データセンターをサービスとしてシスコが提供する」ことを目指す。これは、「データセンター内のコンピューターやネットワークリソースをシスコが包括的に管理し、サービスとしてユーザーに提供する」というものだ。すでに国内でも野村ホールディングスと事業モデル確立に向けた取り組みを開始している。

 3月にはユーザーのプライベートクラウドとパブリッククラウドの柔軟な連携を実現するOpenStackベースのクラウド基盤「Cisco Intercloud」を発表した。15年度はこれをさらに加速させていく。Intercloudの特徴は、「シスコがパブリッククラウドを構築するのではなく、データセンター事業者がIntercloudに対応したパブリッククラウドを提供する」点だ。Intercloudを活用することでデータセンター事業者がソリューション提供できるようになる。すでに国内でも、NTTデータとCTCがIntercloudのパートナーとして加わった。

 「ワールドワイドでは30を超えるパートナーが加わっている。日本でも2社が早くも加わった。まだ公表できないが今後も続々と増える予定だ。今後もパートナーを中心にクラウド事業を提供・拡大していきたい」(平井氏)と意気込んだ。

IoE実現のために積極的投資を継続

 2つ目の戦略「Country Transformation」では、「IoE(Internet of Everything)」分野で市場の変革・開拓を行っていく。IoEは、「IoE製品の導入」「IoEソリューションの展開」「IoEソリューションのさらなる展開」の3段階で加速させていくという。

 同社では、IoEを推進するための第一歩として、smart-FOAへ投資した。smart-FOAは、モノづくり現場におけるデータ活用ソリューションを提供する会社。平井氏は、「IoEは製造業で特に導入が進むだろう。今回の投資は第1号、IoE推進のために今後も積極的に投資していきたい」と抱負を語った。

 最後の「Cisco Family」では、昨年に引き続き女性向け幹部育成プログラムや、社会貢献を目的とした学校や地域への教育プログラムを今年も続けていくとした。

業績ではなく、価値でNo.1 ITカンパニーを目指す

 15年度はコンサルティングサービスも強化していく。

 平井氏は、「シスコはシスコならではのコンサルティングが提供できると考えている。従来の、戦略、ビジネス、ICTなどのジャンルに分かれたコンサルティングではなく、それらの垣根を越えた全体最適/ICTの効率化を提供するコンサルティングだ。いわば、IoE時代のコンサルティングだと考えている。また、クラウド分野にしても、従来の“コスト削減のため”というネガティブな投資ではなく、新たなビジネスを創造するポジティブな投資にするためのコンサルティング活動を行う。このような活動を通して、企業の意識改革を目指していく」と同社コンサルティングサービスの特徴を説明。

 これらを加えて、平井氏は「今年度は、これら新規事業や既存事業のさらなる成長により、シスコはワールドワイドで“No.1 ITカンパニー”を目指す。ここでいうNo.1とは、事業規模でNo.1ではなく、価値としてNo.1になるという意味だ。IT企業として最も価値のある企業になりたい」と高らかに宣言した。

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