マイクロソフトは何を「文化改革」するのか──モバイルとAzureを推進、再び“光る会社”にThe Microsoft Conference 2014レポート

「The Microsoft Conference 2014」で日本マイクロソフトの樋口泰行社長が登壇。Windowsの成功にあぐらをかいている──そんなイメージを払拭する、自社の文化改革に挑み、チャレンジャーとしての意気込みと戦略を語った。

» 2014年10月23日 21時14分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
photo 日本マイクロソフトの樋口泰行社長

 日本マイクロソフトは、顧客とパートナー企業を対象にしたマイクロソフト製品・サービスの総合展示会「The Microsoft Conference 2014」(2014年10月23日〜24日)を開催。米Microsoftの新CEOサティア・ナデラ氏が進める「急ピッチの改革」ととともに、マイクロソフトが今後どこに向かうか、その方向性を樋口泰行社長が基調講演で語った。

 「成功にあぐらをかいて、チャレンジ精神を失っているのではないか、と言われることもある」──。

 改革には痛みが生じる。その文化を変えてなければならないこともある。マイクロソフトは昨今のIT技術のキモとなる「モバイル」「クラウド」に軸足を置く戦略を改めて強調し、「チャレンジャー精神」「お客様第一主義」「学ぶ姿勢とチームワーク」「現実をふまえた戦略」そして「“光る”会社に」をテーマとする文化改革に挑む。

 「ありがたいことに、マイクロソフトはWindowsとOfficeで成功したおかげで、“成功にあぐらをかいて、チャレンジ精神を失っているのではないか”と言われることもあります。あぐらをかいてだめになった会社もたくさんありますが、当然、そのままではいけません。現に、もうスマホが一般層まで普及した状況を見ても、クラウドの状況を見ても“マイクロソフトはチャレンジャーそのもの”なのです」(樋口社長)

photo 「モバイルファースト+クラウドファースト」を掲げ、社の文化改革も進める米Microsoftのサティア・ナデラ新CEO
photo 5つの項目で文化改革を進める

 過去のマイクロソフトは、Windows、Windows──。それ以外は認めない、われわれのプロダクトが一番で、トップシェアだからだ。そんな排他的なイメージもあった。ただ、現在はモバイル分野も、クラウド分野もトップではない。チャレンジャーの立場だ。

 お客様第一主義を掲げ、学ぶ姿勢を改めて打ち出すのも、この状況が根底にある。「Windowsだけでなく、iPadでも、AndroidでもOfficeを使いたい」。このニーズをきちんと形にする。この成果の1つがOffice for iPadであり、日本でもようやく個人向けにも提供されたサブスクリプション型Office「Office 365 Solo」なども挙げられる。どんなデバイスでも使いたい、特に法人層に対するニーズをカバーした格好だ。

 そしてこの姿勢は、マイクロソフトがAzureで推進するクラウドプラットフォームにも取り入れる。「Azure上でも、いろいろな会社のソリューションやアプリが動くように。そんな方針に変えました。Azureは、Linuxをはじめ、Oracle、SAP、Salesforceと提携しており、昨日(10月22日)、IBM(IBMクラウド)とも提携した。いろんなものがAzure上で動くという、そういう全方位のアプローチ。これを徹底していきます」(樋口社長)

 客のメリットになるならば、自社製品だけで囲う考えより、さまざまな選択肢や接続性を考える方が、結果として大きなエコシステムができあがる。この“現実をふまえた戦略”を前提に製品開発をしていく考えを示した。

 「考えてみれば、チャレンジャーと言いますけれど、これまでどちらかというと“後追い”でがんばって市場を獲得していったものが多かった。GUIにしても、Wordにしても、Excelにしても、PowerPointにしても、データベースSQLにしても、あとから追いかけて評価をいただき、今に至っています。だから、モバイルとクラウドにおいても、お客様第一主義を貫きながら、お客様のご期待に答えていきたい。こういう風に考えています。マイクロソフトのコアに据える、“デジタルワーク”と“デジタルライフ”。法人向けと個人向け、オンとオフですね。この相反する2つのビジネスを両立させるのは、なかなか難しい。ただ、生産性を高める。ここがマイクロソフトが一番得意とするプロダクティビティ。両方の価値を届ける会社になる。これが我々のコアなミッションです」(樋口社長)

photo マイクロソフトのコアミッション「法人向けと個人向け、この相反する2つのビジネスを両立させる。両方の価値を届ける会社になる」(樋口社長)

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