NRI、企業向け「マイナンバー登録・管理サービス」をスタート

2016年1月に始まる「個人番号(マイナンバー)」制度について、金融や民間企業などに求められる安全管理や事務をサポートするという。

» 2014年11月20日 17時13分 公開
[ITmedia]

 野村総合研究所(NRI)は11月20日、金融機関や事業会社向けに顧客や従業員などのマイナンバーを安全かつ効率的に管理・利用するためのソリューションという「マイナンバー登録・管理サービス」を開始した。

 マイナンバー制度は、社会保障・税などについて、国民一人ひとりに割り当てられる個人番号(マイナンバー)で一元管理する制度(社会保障・税番号制度)で、2016年1月に施行される予定。マイナンバーの記載が必要とされる書類は多岐にわたり、企業などの事務負荷が大きくなるとみられる。また、「特定個人情報」(マイナンバーを含む個人情報)を扱うことから、情報漏えいなどに関する安全管理の負担も増大すると予測される。

 NRIの新サービスは、証券会社や銀行、保険会社など金融機関の顧客のマイナンバーと、事業会社における従業員のマイナンバーの登録や管理を行う。マイナンバー自体を企業内の情報システムに置かず、NRIのデータセンターで一括して管理し、サービスの利用企業では既存業務への影響を考慮する必要がほとんどなくなるという。また、特定個人情報を企業内で保有することもを極力排除できるため、情報漏えいのリスクを極小化できる。

サービスイメージ

 このサービスでは制度対応へ必要な現行業務の分析から、安全管理措置対策の構築、職員などの教育・研修、マイナンバーの登録・管理に至るまで、一連のメニューを用意。必要なサービスだけを選ぶこともできる。具体的なサービス内容は、「特定個人情報保護を考慮した社内態勢整備の支援」「マイナンバーの登録」「マイナンバーの管理・利用」の3つに大別されるという。

 「特定個人情報保護を考慮した社内態勢整備の支援」は、現行業務の棚卸しや関係事務、必要となる特定個人情報の範囲の明確化、事務取扱担当者の決定、基本方針及び取扱規定の策定といったプロセスを支援。法的リスク・情報漏えいリスクに対応した特定個人情報の保護に関する態勢整備全般を支援する。

 マイナンバー制度では「個人番号関係事務実施者」となる企業などに対して、厳格な手続きや安全管理が要求されている。個人番号関係事務実施者とは、法令や条例に基づいてマイナンバーを使った行政事務を処理する「個人番号利用事務実施者」(国や地方公共団体など)に、マイナンバーを記載した書面の提出などを行う立場だ。

 2016年1月の制度施行を目前に控え、企業などでは短期間のうちに全組織を対象とした事務作業の確認や見直しが必要となってくる。また全ての企業が、施行開始までに特定個人情報保護ガイドラインで要求される義務規定に対応しなくてはならない。ガイドラインは、マイナンバー制度の適正な取り扱いを確保するために必要な措置を担う第三者機関「特定個人情報保護委員会」が定める。

 この点から上記のサービスのうち「マイナンバーの登録」では、顧客や従業員などからマイナンバーの提供を受けたあとに本人確認を行い、データベースへの登録を行う。マイナンバーを各企業内で個人を特定できる口座番号や契約番号、社員番号などとひも付け、NRI側で管理するが、サービスの一部は同社グループ企業のだいこう証券ビジネスが担当する。

 また、「マイナンバーの管理・利用」では登録されたマイナンバーを管理し、必要に応じて各種書類にマイナンバーを付記して提供する。

 具体的には、税務当局への提出が義務付けられている支払調書などのデータに口座番号や社員番号などを付記し、企業内の既存の業務システムから同サービスに送信する。その後、口座番号や社員番号などをもとに同サービスで管理されているマイナンバーが引き出され、決められた書式に従ってマイナンバーも付記して提出先用に出力してくれる。

 登録されたマイナンバーと提出済み書類やデータについては、その保管や変更・廃棄もNRIが実施。さらに、関係当局からマイナンバーやそれに該当する職員について照会があった場合も、NRIから利用企業に対して必要な情報の提供やデータ更新などの作業を行うという。

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