── PaaSは伸びていくだろうか。
神谷氏 ユーザーの目線が、IaaSよりもっと上位のレイヤーであるPaaS、SaaSへ向いていくのは事実だ。しかし個人的には、日本でPaaSの人気が高まるかというと、疑問に感じている。現在のところ、日本のユーザーが使っているのは、大手アプリケーション・ソフトウェアベンダーのサービスか、データベースなどの機能系のサービスに集中しているからだ。
IIJはもともとインフラに強みがある半面、上位レイヤーは得意領域とは言えない。そのため、統合的なPaaSではなく、機能的なサービスを軸に展開しており、市場ニーズに対するカバレッジが広いとは言えないが、当面はそのポジションでよいと考えている。
林氏 エンタープライズPaaSは、「まだ来ていない」と思う。Web系であれば、ミドルウェアまで運用保守を受けられるため、開発事業者のニーズには手応えを感じている。
今後はクラウド単品ではなく、セキュリティサービスやマネジメントサービスなどの上位のサービスが重要になると思う。NTTコムの場合、PBX(内線交換機)をクラウド化するサービスも展開している。また、IoTやM2Mなどのキーワードが示すように、人が使うモノではない産業機器などをターゲットしたクラウドにも注力すべきだと思っている。
北瀬氏 企業がシングルテナントで専有して活用するPaaSは“アリ”だと思う。現在、情報システム部門が大きな負担を感じながらも管理している開発環境を、パッケージ化して企業内で提供するというニーズは高いはずだ。IBMの場合、今年(2014年)7月にリリースしたPaaS型パブリッククラウド「Bluemix」に、シングルテナント向け「Bluemix Dedicated」も発表した。
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