バンダイナムコが採用した文書管理データベース、その効果は?

ホビー、コンテンツ、アミューズメント施設など幅広い事業を手掛けるバンダイナムコグループ。約100社のグループ会社を抱える巨大企業が、内部統制を一元化するために打った施策とは。

» 2014年12月29日 08時00分 公開
[池田憲弘,ITmedia]
photo バンダイナムコグループはホビー、コンテンツ、アミューズメント施設など幅広い事業を手掛けている(出典:バンダイナムコHD)

 玩具業界大手のバンダイナムコグループが好調だ。流行語大賞にもノミネートされたゲーム「妖怪ウォッチ」関連商品の人気にも支えられ、2014年上半期には過去最高の売上高を達成。2014年度通期の利益も上方修正するなど、業績を伸ばしている

 同グループは妖怪ウォッチのほかにも、ガンダム、仮面ライダー、ワンピース、ドラゴンボールといった、さまざまなキャラクターグッズの販売を手掛けているほか、「太鼓の達人」といったゲームや、映像・音楽コンテンツ、飲食店、アミューズメント施設など事業は多岐にわたり、グループ内の企業数は約100社に及ぶ。

 このような巨大な企業では、内部統制や業務監査といったリスクマネジメントも非常に重要になる。業務プロセスの整備状況やリスクに対するコントロールなど、大量のチェックシートや文書を管理する必要がある。バンダイナムコホールディングス(バンダイナムコHD)も年間で3000〜5000件にものぼる大量のデータの処理に手を焼いていたという。

業務に合わせて変えられる柔軟なデータベースを

 同社では今まで書類でやり取りしていたデータを電子化するため、2009年にシステムを導入したが、業務プロセスの文書とチェックシートを保管するシステムでそれぞれ別のIDとパスワードが必要であったほか、アクセス権限を管理するシステムも別途必要になるなど、グループ会社やユーザーの数が増えるうちに不都合が生じる場面が増えてきてしまった。

 また過去データの検索性も低く、1年以上前のデータを探すのはほぼ不可能に近い状態だった。そこで「前のソフトウェアの保守期限が2014年と迫っていたこともあり、1年間の余裕を見込んで、2012年にシステム刷新の検討を始めました」(バンダイナムコHD 業務監査室 佐藤信一さん)という。その後、企業のシステム導入事例セミナーで知ったドリーム・アーツの「ひびきSm@rtDB クラウド版」(スマートDB)を導入した。

 導入に際しては過去の導入実績を重視したという。「すでに導入している企業の数が多く、安定した稼動が期待できることや、事例として挙がっていた導入企業のユーザー数が多いこともポイントでした。内部統制報告では、文書のアップロードのタイミングが集中するため、同時期にアクセスが集中した場合でも安定して動作することが不可欠だったのです」(佐藤さん)

 また、システム構築における柔軟性もポイントになった。内部統制に関する業務は事業の特性に合わせたものになるため、会社ごとに大きく異なる。そのため、「内部統制業務を画一的に進めるのは難しく、会社やユーザーの状況を考慮して業務を行いやすいようにシステムを改修できる柔軟性が求められていました」(バンダイナムコHD 業務監査室長 古川研吾さん)

 このほかアクセスコントロールの細かさやセキュリティ面、そして法制度の変更に合わせて自社で入力フォームを変更できる点も、コスト削減につながる重要な要素となった。過去の文書から必要なものだけを抽出して移行する、といった作業に時間がかかったものの、導入決定から実質1年足らずで新システムが稼働した。初期投資が安価で済むことや、ユーザーに親しみを与えるブラウザベースのインタフェース、そしてユーザーの反応を見ながら試行錯誤しながらシステムを組む必要があった点で、クラウドとの相性もよかったそうだ。

photo スマートDBの活用イメージ

作業効率、メンテナンス性が大きく向上

 スマートDB導入の効果は、主にユーザーメンテナンスの作業に表れた。ユーザー登録や削除といった作業が楽になったほか、アクセス権限や登録者を一覧して表示できるようになったことも大きなポイントという。「システム全体の動作も安定しており、文書の提出状況の確認やデータのロックがスムーズに行えるなど、作業効率が上がりました」(佐藤さん)

 ユーザーの使い勝手も向上した。直感的に使えるユーザーインタフェースに加え、過去データもカテゴリ別に整理され、検索しやすくなった。「ログイン時に表示される内容(文書の一覧など)は所属会社によって異なります。自社以外の情報を隠すことで目的の文書にたどり付きやすくなりました」(古川さん)

 今後はスマートDBを他の業務で活用していくことを視野に入れている。「現時点で具体的な予定はありませんが、グループ各社に散在する社内文書をスマートDBで一元管理できれば、会社を超えたノウハウの共有や文書作成時間短縮といった効果が見込めます。専用ツールではないので、他の業務に展開しやすいでしょう」(佐藤さん)。

photo 2013年8月からスマートDBが稼働している。システムの二重構造が解消し、ユーザーの使い勝手が向上したという(出典:ドリーム・アーツ)

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