情シススタッフが少ない教育現場では、いかにPCの運用管理の手間と時間を軽減できるかが重視される。村田学園ではシンクライアントを採用したことで、運用の飛躍的に楽になったという。
情報化、国際化が加速する現代社会のニーズに応える人材育成を――。そんな理念を掲げて創立されたのが村田学園だ。1909年の開学以来、企業の経営を支える簿記、会計、税務分野の知識に長けた人材の教育に力を入れてきた。
“時代に合った最新の学びの環境”を整えてきたのも特徴の1つだ。同校が注力する経理事務の分野はスプレッドシートやワープロソフトなどのソフトウエアが欠かせない。そのため、比較的早い時期から1人が1台のPCを使えるIT環境を用意してきたという。
こうした“1人1台”体制の学びは学生にとって有意義なものだが、その陰で浮かび上がってきたのがハードウエアやソフトウエアの運用・管理に手間がかかるという問題だった。
2005年、40台超のクライアント端末のメンテナンス作業、最新のカリキュラムへの迅速な対応などで管理作業がいよいよ手に負えなくなってきたことから、同校ではまずにアップルのMacを使ったネットブートシステムの構築に着手した。
ネットブート型クライアントならば、1台分の環境を作り、サーバ越しに残りの40台の設定をすべてコピーするだけでいい。しかし、村田学園傘下の東京経営短期大学で教育研究情報センターの技術助手を務める藤井寛氏によると、この環境も手に負えなくなったという。
手間が軽減されたとはいえ、マスターイメージの作成や、動作確認のための配信作業がなくなるわけではない。また、作成するマスターイメージもOSのサイズも大きく、場合によっては20Gバイトくらいの大きな容量になることもある。そうして作成したデータを吸い出したり送ったりするにはかなりの時間がかかる。
加えてクライアントOSのアップデートにかかる手間やコストが無視できなくなってきたこともあり、同校は2011年、デスクトップの仮想化とシンクライアント専用OSの導入に踏み切った。
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