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» 2015年02月24日 12時00分 公開

「銀行が必要なわけじゃない」── 破壊的新規参入者の脅威をチャンスに変えるCitiIBM InterConnect 2015 Report(2/2 ページ)

[浅井英二,ITmedia]
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Citigroupのリテール部門でCMOを務めるコックス氏

 彼女は、スマートデバイスの普及により、バンキングサービスに対する顧客の期待値も高まっており、もはや同業他社がベンチマークではないと言う。スマホでハイヤーやタクシーが呼べ、支払いまで済ませられるUberが人気となっているが、まさにその優れた顧客体験が比較の対象となりつつあるのだ。

 「ほとんどの金融は、Uberのような優れた顧客体験を提供できていない。しかし、それはチャンスでもある。顧客のニーズを満たすアウト・サイド・インの考え方で、エンジニアの発想を解き放ち、新たなサービスを開発し、従来型のバンキングを破壊したい」とコックス氏。

課題はバックエンドとのセキュアな接続

 Citiでは、開発者の自由な発想を革新的なモバイルアプリーションの開発に生かしたいと、昨年から「Citi Mobile Challenge」コンテストを行っており、昨年の米国大会では、64カ国から744件に上る応募があり、そのアイデアが競われた。

 「子どもに小遣いをあげられるアプリや少額寄付できるアプリなど、斬新なアイデアがたくさん寄せられたが、真の課題は、これらのアイデアをどのように現実のサービスとして提供していくかだ」とコックス氏。

 Citi Mobile Challengeでは、モバイルアプリ開発の環境として、IBMがSoftLayer上で提供するPaaSの「Bluemix」を広く活用しているが、バックエンドのバンキングシステムとセキュアに接続できなければならない。また、よりデータに近いところでコードを動かす方が効率もいいため、Bluemixで開発したアプリケーションはもちろん、そうでないカスタムアプリケーションもプライベートクラウドとパブリッククラウドを行き来できる必要がある。つまり、実際にサービスとして提供していくには、ハイブリッドクラウドの環境で、Systems of Engagement(SoE)とSystems of Record(SoR)をセキュアに接続したり、データやワークロードを簡単に移すことが求められるわけだ。

企業向けのコンテナやセキュア接続機能を発表

IBMでクラウド事業を統括するルブラン上級副社長

 IBMはこの日、こうした課題を解決し、企業がハイブリッドクラウドの柔軟性や迅速性を活用できるようにする一連のテクノロジーを発表している。

 先ず、必ずしもBluemixによらないアプリケーションに可搬性を持たせる仕掛けとしては、オープンソースのコンテナ型仮想化ソフトウェアであるDockerとそのAPIを拡張した「IBM Enterprise Containers」を用意、エンタープライズクラスの可視性、管理性、セキュリティ、そして自動化機能を実現する。これにより、クラウド環境で迅速に開発されたアプリケーションは、データが置かれているオンプレミス環境に簡単に移して実行させることができるようになるという。

 データの可搬性については、直感的な操作でさまざまなデータセットを扱うことができるIBM DataWorksを機能強化したほか、Bluemixとバックエンドのデータをセキュアに接続する「Secure Passport Gateway」を新たに用意した。

 企業ごとにSoftLayer上で専用に用意される「Dedicated Bluemix」が昨年末に発表されたのに続き、今回のInterConnectカンファレンスで「Bluemix Local」が発表されたのも大きい。Bluemix Localは、ファイアウォールの内側にPaaS環境を構築するもので、Bluemixによって標準化することによって、企業はハイブリッドクラウド環境にあっても高い可視性と管理性を維持することができるようになるという。

 βが提供されるBluemixの「API Harmony」も開発者にとってはありがたい機能だろう。カタログからAPIを検索し、そのままBluemix環境で利用できるようにするものだ。例えば、「決済」「クチコミサイトのYelp」「Google Map」などでマッチングをかけていくことで、評判のレストランを予約し、食事を楽しみ、支払いまで済ませられるモバイルアプリも簡単に開発できるという。

 Citi Mobile Challengeでは、同行の電子ウォレットと連携し、割り勘機能まで付いた「Joint Pay」と呼ばれるアプリが人気を集めたという。

 また、Bluemixの魅力は、IBM Watsonのコグニティブコンピューティングをサービスとして簡単にアプリに組み込めることで何倍にも高められている。ソーシャルメディアを解析して洞察を導き出す一連のサービス、「Watson Personality Insight service」が正式に提供開始されたほか、新たに音声認識やテキスト読み上げ、画像認識など、新たに5つのβサービスが追加され、Bluemixで利用できるWatsonサービスは14に増えた。なお、開発者はこれらのサービスを無償で利用できるという。

 「アイデアに富んだモバイルアプリをあなたも応募してほしい」とCitiのコックス氏は話した。

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