新OSで変わるのはソフトウェア面だけではありません。マイクロソフトはハードウェアでも革新を起こそうとしています。その代表的な例が「HoloLens」でしょう。これは、現実世界にホログラム映像を重ねた“拡張現実(AR)”の世界を体験できるメガネ型のデバイス。世界初となるホログラフィック コンピューティング プラットフォームとなります。
例えば、自宅に居ながらにして火星探査を体験できたり、水道管の修理を遠く離れた家族に助けてもらったり、建築家が自分の設計デザインをホロレンズを通して確認、シミュレーションするというような使い方も考えられます。このように、他社と同じ空間を共有できるようになることでコミュニケーションコストを下げ、新たなビジネスが生まれるはずです。
Windows 10向けに作られたアプリはホログラム対応が含まれているので、ホログラムとして動かすことが可能です。HoloLensは開発者向けに2016年中に発売予定です。もうしばらくお待ちください。
そしてもう1つ、大画面デバイス「Surface Hub」もビジネスや働き方を大きく変える可能性を秘めています。例えば会議の場でのディスカッション、ブレインストーミングの際にホワイトボードのように使用する、Skypeを使用して遠隔地とビデオ会議を行うなどの使用用途が考えられます。
HoloLensとSurface Hub。距離と空間の制約を越えた新たなコラボレーションで働き方を変え、生産性を高める。これがマイクロソフトが目指す1つの方向性です。
そしてこのハードウェアとソフトウェアを結び、小さなIoTデバイスから大きなSurface Hubのようなデバイスまで、全てがWindows 10で動くようになる――。これがマイクロソフトが掲げる「One Coreプラットフォーム」です。
OSを統一することで、1つのセキュリティモデル、1つの管理モデルでの運用が可能となるほか、開発者は1つのアプリを作れば全てのWindowsデバイスでアプリが動作するのです。簡単にセキュリティを担保でき、アプリの管理や展開も楽になるわけです。
今やレタス栽培にITが関わり、牛の足にIoTデバイスを取り付け、クラウドでデータを解析して生産管理をするといったように、どんな産業にもITが不可欠になりつつあります。どんな環境でも、普段使用しているWindowsで操作でき、一括管理できることを魅力的に感じる人は多いはずです。
私たちMicrosoftのビジョンは、ビル・ゲイツが掲げた「世界中にある全ての机と家庭にコンピュータを届ける」というものから、現在のCEOである、サティア・ナデラが掲げた「地球上の全ての個人と全ての組織が、より多くのことを達成できるようにする」というコンセプトに変わりました。
冒頭にお話しした通り、世の中は急速に変化していますし、その変化はより早くなっていくでしょう。そのような環境の中、マイクロソフトは新たなWindowsを通じて何ができるのか。今後もいろいろなサービスやコンセプトが出てくると思っています。
次回はWindows 10が「どのようにワークスタイル変革を実現するのか」というポイントを紹介します。
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