第12回 Docker環境のバックアップツール「Convoy」を試す古賀政純の「攻めのITのためのDocker塾」(3/3 ページ)

» 2015年12月09日 07時30分 公開
前のページへ 1|2|3       

スナップショットを適用し、旧ファイルを復活させてみる

 現在のスナップショットの情報を確認しておきます。


# convoy backup list vfs:///backupdir/ |grep -E "BackupURL|SnapshotName|VolumeName"
"BackupURL":"vfs:///backupdir/?backup=15111c06-2081-4c2a-b3cd-c2a765ab2cb5\u0026volume=9f50d4d3-7b05-4e1a-868e-ae93f546058e",
"SnapshotName": "snap0001",
"VolumeName": "vol01",
"BackupURL":"vfs:///backupdir/?backup=e65d48f3-5a2d-4be1-91f6-d0b00dd171c4\u0026volume=9f50d4d3-7b05-4e1a-868e-ae93f546058e",
"SnapshotName": "snap0002",
"VolumeName": "vol01",

 スナップショットsnap0001を適用してみます。snap0001のスナップショットを適用するには、上記の出力のうち、snap0001に関連する「"BackupURL":」の後に続く文字列を以下のように指定します。今回、スナップショットsnap0001を適用した新たなボリュームvol02を作成します。


# convoy create vol02 --backup vfs:///backupdir/?backup=15111c06-2081-4c2a-b3cd-c2a765ab2cb5\u0026volume=9f50d4d3-7b05-4e1a-868e-ae93f546058e

 vol02は、スナップショットsnap0001を取得した時のボリュームとなります。すなわち、コンテナ内の/cdir01/test.txtファイルの中身は、「Hello Convoy.」と表示されるはずです。ボリュームvol02を使って、新たにコンテナtest04を起動します。


# docker run -itd -v vol02:/cdir01 --volume-driver=convoy --name test04 -h test04 centos:centos7.1.1503 /bin/bash
# docker exec -it test04 /bin/bash
[root@test03 /]# cat /cdir01/test.txt
Hello Convoy. 
[root@test03 /]#

 スナップショットsnap0002が適用されているvol01もあわせて確認しておきましょう。


# docker run -itd -v vol01:/cdir01 --volume-driver=convoy --name test05 -h test05 centos:centos7.1.1503 /bin/bash
# docker exec -it test05 /bin/bash
[root@test05 /]# cat /cdir01/test.txt
Hello Docker.
[root@test05 /]#

 いかがでしたか。Dockerにおけるスナップショットの取得、バックアップ、コンテナによるボリュームの再利用、スナップショットからのボリューム生成などをご紹介しました。Convoyは、Docker環境におけるユーザーデータのスナップショットを取得したいという要求に応えることができます。パブリッククラウド環境へのバックアップにも対応していますので、オンプレミスとパブリッククラウドの両方を利用するハイブリッド型のIT基盤を検討されている方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 また近年は、ソフトウェア定義型のストレージ(Software-Defined Storage:通称SDS)にビッグデータを保管することも徐々に増えてきました。SDSのようなペタバイト級のデータを保管するような環境においては、スナップショットや遠隔地へのレプリケーションなどの機能を駆使した効率的なバックアップ運用も検討しなければなりません。

 Convoyは、Docker対応のバックアップソフトウェアとして、まだ世に出たばかりですが、SDSとの連携稼働にも期待が寄せられています。Docker環境というと、どうしても開発・運用の自動化、省力化というイメージが先行しがちですが、IoT時代の到来を見据え、Docker環境においても、膨大なユーザーデータの保管・分析まで視野に入れたストレージ環境をきちんと考えておかなければなりません。

(第13回はこちら

古賀政純(こが・まさずみ)

日本ヒューレット・パッカード株式会社 オープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリスト。兵庫県伊丹市出身。1996年頃からオープンソースに携わる。2000年よりUNIXサーバーのSE及びスーパーコンピューターの並列計算プログラミング講師、SIを経験。2006年、米国HPからLinux技術の伝道師として「OpenSource and Linux Ambassador Hall of Fame」を2年連続受賞。プリセールスMVPを4度受賞。現在は日本HPにて、Linux、FreeBSD、Hadoopなどのサーバー基盤のプリセールスSE、文書執筆を担当。Red Hat Certified Virtualization Administrator, Novell Certified Linux Professional, Red Hat Certified System Administrator in Red Hat OpenStack, Cloudera Certified Administrator for Apache Hadoopなどの技術者認定資格を保有。著書に「CentOS 7実践ガイド」「Ubuntu Server実践入門」などがある。趣味はレーシングカートとビリヤード


関連キーワード

Docker | CentOS | 攻めの経営 | Linux


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ