これまでに挙げた以外でオブジェクトストレージにおいて考慮すべきポイントは以下になります。
ソリューションや利用形態ごとに要件を定義する
- アプリケーションがサポートするAPIはどれか
- スループットと容量はどれくらいが最適か
- SLA(サービスレベルアグリーメント)での可用性と冗長性はどれくらい必要か
性能の改善手法(下図参照)
- フロントエンド(アクセスティア)ではプロキシ、ゲートウェイ、アクセッサーノードを増やす
- バックエンド(ストレージティア)ではストレージノード、ドライブ数を増やす
- 利点はデータアクセスがない間に行うデータスクラビング(エラー検出、訂正)やオーディットなどが行いやすく、データリビルドやリバランシング、エラー訂正も容易である
データの特性に合わせた最適なストレージプール(またはハードウェア)の選択
- ウオーム/アクティブデータ:比較的頻繁にアクセス(リード)されるデータ。Webコンテンツ、ドキュメントダウンロード、ビデオクリップなど
- コールド/アーカイブデータ:通常はほとんどアクセスされないデータ。バックアップやアーカイブ、古い写真やビデオ、過去の金融系データなど
- 凍結データ:法規制などの理由から、アクセスの可能性は極めて低いが、保管が必要、または義務付けられているデータ。読出し時間の要求は低く、低TCOが重視される
図:オブジェクトストレージの基本的アーキテクチャ
次回はオブジェクトストレージサイジングのヒントについて解説します。
日本ヒューレット・パッカード株式会社 ストレージテクノロジーエバンジェリスト。ストレージ技術の最先端を研究、開発を推進。IT業界でハード設計10年、HPでテープストレージスペシャリストを15年経験したのち、現在SDS(Software Defined Storage)スペシャリスト。次世代ストレージ基盤、特にSDSや大容量アーカイブの提案を行う。テープストレージ、LTFS 関連技術に精通し、JEITAのテープストレージ専門委員会副会長を務める。大容量データの長期保管が必要な放送 映像業界、学術研究分野の知識も豊富に有する。
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