第8回 オブジェクトストレージを使う前の基礎知識と注意点クラウド社会とデータ永久保存時代の歩き方(2/2 ページ)

» 2016年01月13日 08時00分 公開
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その他の考慮すべき点

 これまでに挙げた以外でオブジェクトストレージにおいて考慮すべきポイントは以下になります。

ソリューションや利用形態ごとに要件を定義する

  • アプリケーションがサポートするAPIはどれか
  • スループットと容量はどれくらいが最適か
  • SLA(サービスレベルアグリーメント)での可用性と冗長性はどれくらい必要か

性能の改善手法(下図参照)

  • フロントエンド(アクセスティア)ではプロキシ、ゲートウェイ、アクセッサーノードを増やす
  • バックエンド(ストレージティア)ではストレージノード、ドライブ数を増やす
  • 利点はデータアクセスがない間に行うデータスクラビング(エラー検出、訂正)やオーディットなどが行いやすく、データリビルドやリバランシング、エラー訂正も容易である

データの特性に合わせた最適なストレージプール(またはハードウェア)の選択

  • ウオーム/アクティブデータ:比較的頻繁にアクセス(リード)されるデータ。Webコンテンツ、ドキュメントダウンロード、ビデオクリップなど
  • コールド/アーカイブデータ:通常はほとんどアクセスされないデータ。バックアップやアーカイブ、古い写真やビデオ、過去の金融系データなど
  • 凍結データ:法規制などの理由から、アクセスの可能性は極めて低いが、保管が必要、または義務付けられているデータ。読出し時間の要求は低く、低TCOが重視される
図:オブジェクトストレージの基本的アーキテクチャ

 次回はオブジェクトストレージサイジングのヒントについて解説します。

著者:井上陽治(いのうえ・ようじ)

日本ヒューレット・パッカード株式会社 ストレージテクノロジーエバンジェリスト。ストレージ技術の最先端を研究、開発を推進。IT業界でハード設計10年、HPでテープストレージスペシャリストを15年経験したのち、現在SDS(Software Defined Storage)スペシャリスト。次世代ストレージ基盤、特にSDSや大容量アーカイブの提案を行う。テープストレージ、LTFS 関連技術に精通し、JEITAのテープストレージ専門委員会副会長を務める。大容量データの長期保管が必要な放送 映像業界、学術研究分野の知識も豊富に有する。


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