第21回 ブロックチェーンを生かしたクラウドストレージの安全策クラウド社会とデータ永久保存時代の歩き方(1/2 ページ)

データが拡散するほど危険になると思いがちなクラウド時代のストレージにおいては、逆にこの状況に合わせた技術の活用で安全になる可能があります。今回はブロックチェーンの特徴からクラウドストレージの技術を解説します。

» 2016年08月17日 08時00分 公開

ブロックチェーンは次世代のクラウドストレージとなり得るか?

 さて、前回説明したブロックチェーンの特徴を見て、「いったいクラウドストレージと何が違うの?」と思われた方もいるでしょう。今回はその理由を解き明かします。

 ブロックチェーンでは、トランザクションを記録する台帳が安全に分散保存され、一部の台帳のデータが改ざんされても、それ以外の台帳と比較することでそのデータが正しいかどうかを確認できるという特徴に触れました。クラウドストレージサービスにも分散ストレージがあります。本連載で何度かに分かって解説してきた「オブジェクトストレージ」です。

 ブロックチェーンの分散ストレージとしては、「StorJ」(ストレージと発音)があります。それでは、このStorJとオブジェクトストレージを比較してみましょう。

1.低コスト

 いずれも低コストが売りです。しかしオブジェクトストレージは、特定の企業内やクラウドサービスの内部に限定されるのに対し、StorJは個人がだれでもストレージ領域を提供でき、誰でもサービスを利用することができます。

 そのため、利用できるストレージの容量も、桁違いに大きくなる可能性もあり、コスト面で有利になると考えられます。

2.地球レベルの分散・拡張性

 オブジェクトストレージの特徴の一つのが「Geo Scale」です。「地球レベルでの分散」とも表現できるでしょう。これは、データを地球上の複数サイトに分散して、大規模な災害やネットワーク障害が発生してもデータが読み出せる仕組みです。同様に一番近いサイトからデータを読み出すこともできるので、読出し速度という意味でも効果的です。

 StorJの場合も、同じように世界中に分散してデータを配置できます。さらに特定のベンダーだけの設備だけでなく、StorJに参加してストレージを提供するクライアントの数を考えると、オブジェクトストレージやそれを利用したクラウドサービスと比較して、拡張性が格段に高いといえます。

 具体的な数字で見ると、世界中のクライアントのストレージ容量は25万ぺタバイトに達するといわれています。これが全部利用可能なストレージ容量だとすると、世界のクラウドストレージプロバイダートップ5の総容量を全て足しても、20倍以上の開きがあると推定されています。

 自分のストレージが他人に使われる?――ちょっと気持ち悪い気もしますが、電力自由化で電気が売れる時代、使わないときのクライアントPCのリソースやストレージを切り売りするというのは、もしかしたら今後一般化してくるのかもしれません。

電力自由化と同じように個人のストレージを自由に売れる時代に
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